幼児教育の専門家が教える、「甘やかす」の境界線

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乳児から幼児へと成長する過程で、
「甘えさせてばかりいては、わがままになってしまうのでは」と
心配になる保護者も多いのではないだろうか。
子どもの上手な甘えさせ方について、発達心理学・幼児教育の専門家である
東京学芸大学教授の岩立京子氏に聞いた。

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「甘える」というのは、生まれつき人に備わった欲求です。
生後6か月ぐらいの赤ちゃんが、母親の姿が見えなくなると泣いたり、
後追いをしたりするようになる行動を「愛着」といいます。
母親がこの愛着行動を十分に受け止めると、
赤ちゃんは「お母さんは自分のことを守ってくれる安全基地」と思えるようになり、
安心して外の世界へ探索に出かけるようになります。

子どもが保育園や幼稚園に行って楽しく遊んでいられるのも、
愛着関係が成り立っている証拠です。
小学校入学も迫ると、そろそろ自立してほしいと思うかもしれません。
しかし、この時期にも子どもが十分に甘えられる関係を作っておくと、
子どもは母親以外の人とも信頼関係を築けるようになり、自立へと向かうことができます。

幼児期に十分に甘えさせてあげることが、自立を促すうえで大切ですが、
「甘えさせている」と「甘やかしている」というのは少し違います。
「甘やかす」というのは、子どもが望む前に保護者が与えてしまったり、
無制限に要求に応えてしまったりすることです。
子どもの気持ちに寄り添いながらも、自立に向けて
ある程度の制限や条件を付けて「甘えさせる」ことが大切です。

たとえば、「夕食前にお菓子が食べたい」と言ったら
無制限にお菓子を食べさせるのではなく
、小さなお菓子を1個だけと約束して食べさせる、
一人で着替えられるのに「着替えさせて」というのであれば、
ズボンは手伝うけれど、シャツは自分で着替えてね、と伝える、など、
子どもの要求に耳を傾けながらも、
保護者の譲れない部分と上手く折り合いをつけてほしいと思います。
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