子どもに罰与えてるよう? 物議かもすおやつ廃止

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 子どもに罰を与えられていよう──。
おなかが空いた子どもに我慢をさせる日々に、働く親たちが悲鳴を上げている。

 今年の4月、東京都江戸川区では児童の放課後対象事業「すくすくスクール」で、
これまで提供されていた補食(おやつ)が廃止された。
今では、おやつと一緒に出ていた麦茶もなくなり、
子どもたちは、遅ければ午後6時のお迎えまで、学校の水道水だけで空腹を満たしている。
その多くが、保育園出身の新1年生だ。おやつはなぜ廃止になったのか?

 同区でのおやつ廃止の理由の一つは財政難だが、
今年1月下旬に区教育委員会から保護者に配布されたプリントには、
「カロリーの過剰摂取、食材の廃棄が出る、
食物アレルギーの児童への対応が困難」という理由も示されていた。
突然の通知に驚いた保護者らは、すぐに陳情書を教育委員会に提出。
補食委託事業継続を求めた5千筆の署名も集めたが、結局おやつは廃止された。
保護者の一人は訴える。

「親は補食費として実費を収めていました。
事業運営全体にかかる人件費を削減していきたいとしても、
論議の場すらないままの急な廃止は乱暴です」

 週5日、パートで働く女性(43)が住む渋谷区でも、
08年度に学童保育をすべて全児童対策の事業に切り替えている。
ここでは午後5時が、学童保育を利用しない児童の帰宅時間。
それらの児童が帰った後、学童保育として利用する家庭に
実費をもらっておやつを出すという配慮で児童の“分け隔て”をなくしている。
しかし女性は、「おやつが午後5時は遅すぎる。
他の区では3時台なのに」と疑問を感じる。
小2の息子は、午後5時まで待てず、
放課後は家でテレビを見て留守番をするようになったという。

 実は、前述の江戸川区の事業でも、補食廃止の理由に
「どの児童にも分け隔てない対応のため」と付け加えられている。
だが、同区に住む専業主婦の母親(45)は、こう話す。

「異なる環境の子を平等にというのは大人の建前。
いろんな環境の子がいて、認め合って遊ぶ能力が子どもにはあるはず。
みんな一緒が平等という方式を与え続けた子どもたちは、
どんなふうに育つのでしょう」

 昨年8月に成立した子ども・子育て支援関連3法では、
学童保育の充実が掲げられた。
また女性活用が推進される中、生活の場としての学童保育の重要性が増す。
学童保育を利用する子どもにとって、放課後と長期休暇を足した
年間約1600時間をどう過ごすかは重要な問題だ。

「息子は中学生になった今も学童保育のおやつ係の日に
年下の子たちの希望をまとめ、自分が買い出しに行ったことを誇らしげに話します。
預けていてよかったと思える環境だったから、
仕事も続けられた」(江東区に住む44歳の自営業女性)
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