乳児院から帰宅2週間後の2歳虐待死、父を逮捕

YOMIURI ONLINE
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 2歳の長男に暴行し死亡させたとして、
和歌山県警和歌山東署は23日、父親の会社員・原和輝容疑者(26)(和歌山市神前)を
傷害致死容疑で逮捕した。
原容疑者については2年前に長男への傷害容疑で同署が2度逮捕、
和歌山地検が不起訴(起訴猶予)にしていた。
児童相談所は最初の逮捕後から、長男を一時保護し、
乳児院に入所させていたが、事件の約2週間前に自宅に戻したばかりだった。

 発表では、原容疑者は7月23日夜、自宅で長男の星涼せりちゃんの頭に複数回、
暴行を加え、翌日未明、外傷性くも膜下出血などで死亡させた疑い。
調べに対し「暴力はふるっていない」と容疑を否認。
「長男が風呂場で転んだ後、寝室で寝かせたら、
せき込んだり嘔吐おうとしたりして呼吸が弱くなった」と話している。

 原容疑者は星涼ちゃんと妻(23)、長女(4)、次男(1)の5人家族。
妻と長女は当時、不在だった。
原容疑者は23日午後11時5分頃、
星涼ちゃんがぐったりしているのに気付き、妻に電話で相談。
妻の指示で119番したという。
2度逮捕・不起訴

 県子ども・女性・障害者相談センター(児童相談所)によると、
星涼ちゃんは2011年7月と10月に2度、頭部出血や右足骨折などで入院。
病院から虐待の疑いで通告を受けた児相が10月に同署に刑事告発した。

 これを受け、同署は同11~12月に2度、
原容疑者を星涼ちゃんへの傷害容疑で逮捕したが、同容疑者は容疑を否認。
和歌山地検は「日常的に虐待した証拠がない」として、
いずれも不起訴(起訴猶予)とした。

 児相は同11月の最初の逮捕を受け、星涼ちゃんを一時保護、
12年2月から乳児院に入所させた。
その後、原容疑者ら家族との面会を25回、外出を5回、
外泊を35回重ねたことで、原容疑者との関係が良好になったとして
自宅に帰すことを決定、今年7月8日に入所措置を解除した。
この間、原容疑者は児相に対し一貫して虐待を否定していた。

 家庭復帰については、厚生労働省が判断材料として示した
20のチェック項目のうち19項目が合致。
残る1項目の「(保護者が)虐待の事実を認め、
問題解決に取り組んでいる」は当てはまらなかったが、
総合的な見地から認めたという。

 同センターの巽清隆所長は記者会見し、
「結果としては判断が甘かったと言わざるを得ない」と述べた。
虐待の児相対応、昨年度6万6807件

 厚生労働省によると、2012年度に児相が
児童虐待の相談・通報に対応した件数は11年度より
6888件多い6万6807件(速報値)で、過去最多を更新している。
11年度に虐待で亡くなった子は58人。
うち3割は児相が事前に相談を受けていたが防げなかったケースで、
子どもを実親の元に戻した後に虐待死した例も含まれている。

 児童虐待問題の専門機関「子どもの虹情報研修センター」(横浜市)の
川崎二三彦研究部長は「外泊など施設退所までの段階を踏み、
親子関係の修復を目指しても、
本人が過去の虐待を認めていない場合は効果的な指導が難しい。
退所後の支援の中心となる地元自治体との連携も含め、
児相の対応を徹底的に検証する必要がある」と指摘している。
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