シンガポール発:子供の肥満を食い止めろ作戦!

PUNTA
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近年、アジア各国で肥満による健康障害が大きな社会問題となっていることをご存知だろうか。
当地シンガポールでも、成人のみならず子供の肥満も急増しており、
政府が対策に本腰を入れ始めた。

HPB(シンガポール健康促進局)の調査によると、
現在、国民の10%が肥満であり、更にその3分の1が、
BMI(体格指数)35以上の超肥満とのこと。
民族別にみると、マレー系約24%、インド系約17%、中国系約8%の国民が
肥満との結果が公表された。
この主たる原因としては、運動不足と不適切な飲食習慣が挙げられている。

最近、ジョギングやサイクリングがブームになっているシンガポール。
運動を習慣的に行っている人の割合は少しずつ増えてはいるが、
毎日20分以上の運動習慣がある人は未だ全体の半数以下。
国民全体に運動習慣が浸透しているとは言い難い状況である。

飲食習慣に関しては、高い外食傾向が原因の一つと考えられている。
国民を対象にした飲食習慣の調査によると、
シンガポール人の60%以上が全食事の半分以上を外食で済ませ、
また、40%以上が1日1回以上、屋台(ホーカー)で食事をしているという。
カロリーや塩分、脂肪分が多くなりがちなホーカーフードや
ファストフードをはじめとする外食に頼った食生活が肥満率を押し上げている
大きな要因となっているようだ。
また、他のアジア諸国と同じく、食生活の欧米化もリスクファクターであると
指摘する専門家も多い。

当地では、肥満の低年齢化も深刻だ。
子供の肥満は、糖尿病や高血圧など様々な病気・疾患の予備軍とも言われている。
そこで、HPBとMOE(シンガポール教育省)は
プライマリースクールとセカンダリースクール(初等・中等教育)を中心に、
肥満のリスクや防止対策の指導強化に乗り出した。

多民族・多宗教国家であるシンガポールでは、
それぞれの民族・宗教によって飲食できるものが異なる。
ラマダン中は断食するムスリムの児童・生徒も多い。
その為、シンガポールは給食制度がなく、学食で朝食や昼食、
飲料等を購入するのが一般的だ。

児童・生徒たちの多くが学食に頼った食生活を送っている為、
各学食では、糖分の多い飲料の大容量ボトルの販売を自粛したり、
野菜をメニューに多く取り入れるなど対策を講じている。
また、肥満や肥満傾向にある児童・生徒に対しては、
食習慣の見直しや運動カリキュラムの実施などを学校主導で行っている。
休み時間中にXboxなどの身体を動かすゲームを一定時間行わせるといった
ユニークな試みも実際に行われている。

更にHPBは、テレビ、ラジオ、子供向けの雑誌や公共交通機関における
不健康な食品・飲料の子供向け宣伝の規制を開始。
トランス脂肪酸や塩分、糖分が多く含まれている
ファストフードや飲料等が対象となっている。

シンガポールらしく政府主導型で進められている肥満率対策。
特に政府は、生活習慣病予備軍である子供の肥満率の改善策に注力している。
効果はいつ、どのように表れるのか。
国民はもちろんのこと、肥満率増加に悩むアジア各国が注目している。
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