国連 毎年730万人の少女が出産

NHK NEWS WEB
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国連人口基金は、発展途上国で毎年730万人の少女が
18歳未満で出産しているとする白書を発表し、
若すぎる妊娠で命が危険にさらされるほか教育の機会が失われることで
国の経済損失にもつながっているとして、少女の権利を尊重すべきだと訴えています。

国連人口基金が30日に発表した「世界人口白書」によりますと、
発展途上国では毎年、18歳未満で出産する少女が730万人いて、
このうち200万人が15歳未満だということです。
若い年齢での妊娠や出産は母子の健康を大きく損なうおそれがあり、
毎年7万人の少女が妊娠や出産に伴う合併症で死亡しているとみられるほか、
赤ちゃんも死産になる確率が高くなっています。
また、妊娠した少女は教育を受ける機会を失い、
仕事に就くのが難しくなることから、国の経済の損失にもつながるとして、
中国では少女の妊娠により失われる国の利益がGDPの1%になるほか、
経済規模の小さいアフリカのウガンダでは30%にもなると推測しています。
途上国における少女の妊娠は、9割近くが家庭の貧困を理由に
本人の意思に反して若くして結婚させられることで起きていて、
15歳未満の少女でも親の了解があれば結婚できる国は
世界に52か国あるということです。
国連人口基金は、少女の妊娠は家族や地域社会だけでなく
政府レベルでも取り組むべき課題だとして、
少女に教育を受けさせ自立を促す支援をすることや、
若すぎる結婚を禁止する法律を厳格に適用することを通じて
少女の権利を尊重すべきだと訴えています。

「児童婚」世界で毎日3万9000人

国連は男女のいずれかが18歳未満である結婚を「児童婚」と定義し、
世界中で毎日、3万9000人の少女による児童婚が行われているとしています。
特に南アジアやアフリカを中心とした貧しい国に多く、
このうちバングラデシュやアフリカのニジェール、
それにチャドでは少女のおよそ3人に1人が
15歳未満で結婚しているということです。
こうした地域では宗教観などから女性の地位が男性より低く見られていて、
貧しい家庭に暮らす少女たちは少年に比べて学校に通わせてもらえないことが多く、
地域によっては新郎側から結納品として家畜などをもらえるため、
両親によって若いうちに結婚させられるケースも少なくありません。
今回発表された世界人口白書には、
マダガスカルで両親の考えにより学校に通えず
12歳で結婚、13歳で出産した少女や、
チャドで14歳のときに二回り以上年上の男性と結婚させられ
まもなく出産した少女など、みずからの意思に反して結婚させられ、
人権を奪われている例が紹介されています。
世界には、15歳未満の少女でも親の了解さえあれば
結婚できる国が依然として52か国あることに加え、
児童婚を禁じる法律があっても守られていない国があることから、
国連は国際社会に対して法律の厳格な順守を呼びかけるとともに、
少女を少年と対等にみなし、教育などの権利を認めるよう求めています。
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