「早発閉経」の女性が出産 聖マリアンナ医大、世界初の成功

日本経済新聞
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 若くして月経がなくなった「早発閉経」の女性から卵巣を取り出して、
休眠状態の卵子を育てる新しい不妊治療で世界初の出産に成功したと、
聖マリアンナ医大(川崎市)の石塚文平特任教授らのチームが
9月30日付の米科学アカデミー紀要に発表した。

 40歳未満で卵巣の機能が衰え排卵しなくなる早発閉経の患者は国内で推定10万人。
ホルモン療法や、他人からの卵子提供が主な対処方法だった。

 この治療では、卵巣を腹腔(ふくくう)鏡手術で摘出し、いったん組織を凍結保存。
眠った状態の卵子のもとである原始卵胞を目覚めさせる物質を加えて
培養、卵管を覆う膜の下に移植する。
その後、卵子が成熟したところで採取し、体外受精して子宮に戻す。

 これまでに27人の患者から卵巣を摘出し、
13人で原始卵胞が残っていると確認できた。
そのうち5人から卵子が採取でき、受精卵を子宮に戻した3人中2人が妊娠、
4年間月経がなかった30歳の女性が男児を出産した。母子ともに健康だという。

 この方法が有効なのは卵巣に原始卵胞が残っている人に限られるが、
今後は早発閉経に加え、加齢に伴って
卵巣機能が衰えた人たちへの応用も探りたいとしている。

 卵胞の活性化技術と臨床応用は河村和弘准教授、
組織の凍結は鈴木直教授らが開発した。
臨床研究として100例を目標に進め、安全性や成功率の向上を図る。〔共同〕
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