【教育動向】 土曜授業、保護者の3人に1人が期待も……教委は様子見? 斎藤剛史



msn産経ニュース
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文部科学省は「土曜授業」を市区町村や都道府県の
教育委員会などの判断で実施できることを明確化することを決めました。
ただ、土曜授業を必要と思っている市区町村教育委員会は全体の約1割のみで、
文科省との考え方の違いが目立っています。本当に土曜授業は広がるのでしょうか。

公立学校では学校教育法施行規則で土曜日が休業日となっていますが、
現行でも「特別の必要がある場合」は土曜日に授業ができます。
しかし、2012(平成24)年度に土曜授業を実施した公立学校は、
小学校が8.8%、中学校が9.9%、高校が3.8%で、
いずれも1割に満たないのが現状です。
また文科省の調査によると、公立小・中学校で土曜日授業を
「実施する必要性がある」と回答したのは、
都道府県教委が17.0%、市区町村教委が10.9%のみで、
多くの教委は「どちらともいえない」(都道府県教委83.0%、市区町村教委58.7%)
としており、慎重に様子を見ているというのが実情のようです。

一方、2013(平成25)年4月の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で
学力テストと同時に実施された保護者調査の速報値によると、
子どもの土曜日午前中の過ごし方(複数回答)として
「学校で授業を受ける」ことを小学校の保護者の36.7%、
中学校の保護者の36.1%と、約3人に1人が望んでいることがわかりました。

多くの教委が土曜授業に慎重な姿勢を示している背景には、
教職員の代休を確保できないという勤務問題ばかりでなく、
どのような場合に土曜授業を実施してもよいのか
基準が不明確であることが挙げられます。
このため文科省は、「土曜授業に関する検討チーム」の最終報告を受けて、
教委の主体的判断で土曜授業を実施することが可能であることを明確化するため、
2013(平成25)年11月に学校教育法施行規則を改正する予定です。
これによってどの程度の教委が2014(平成26)年度から
実施に踏み切るかが注目されるところです。

ただ、土曜授業が広がっても平日と同じ通常授業を土曜日に行うというケースは
少ないと思われます。
というのも文科省の検討チームは、
2013(平成25)年6月の中間まとめの中で
「地域と連携した体験活動を行ったり、
豊富な知識・経験を持つ社会人等の外部人材の協力を得たりするなど、
土曜日に実施することのメリットを活(い)かしながら、
道徳や総合的な学習の時間、特別活動などの授業を行うなどといった
工夫が期待される」としているからです。
文科省は、来年度概算要求の中に「土曜授業推進事業」を盛り込み
外部講師や民間事業者などを活用した月1回程度の
「質の高い土曜授業」を実施するための支援事業を
全国350校程度で実施する方針です。

このほか概算要求には「地域の豊かな社会資源を活用した
土曜日の教育支援体制等構築事業」も盛り込まれており、
公立学校の約2割を対象に年間10日程度の
多様な教育プログラムを行うことにしていますが、
これは希望者参加の課外学習となりそうです。

土曜授業について文科省は「土曜日にしかできないような授業」
(義家弘介・前文科大臣政務官)を求めています。
地域との連携による体験活動を充実させるには、
保護者の協力が必要となってくるかもしれません。
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