児童虐待連絡 チェックシート…千葉で導入

YOMIURI ONLINE
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 児童虐待の通報が増え続ける中、今年6月から導入された「児童通告連絡票」が、
千葉県警と児童相談所の円滑な情報共有に効果を上げている。

 虐待された児童の家族構成などをより詳しく把握するために作成されたもので、
独自のチェックシートを導入するのは全国初の取り組みという。
双方が「連携が深まり対応が迅速になった」としている。

 これまで、県警が児童虐待事案の通報を受けて児童相談所に通告する際、
全国で同じ様式の「児童通告書」のみでやり取りしていた。

 この書類には虐待を受けた児童や保護者の名前、
虐待の内容を書く欄があるが、通告する警察官によって内容はばらばらだった。
児童相談所が県警に必要な情報を求めるため連絡を取ることもしばしばで、
手間がかかっていた。

 そこで県警は今年6月、児童通告連絡票を作成。
児童の家族構成や過去の通告回数、
虐待の加害者名などの記載欄を設けたほか、
虐待の中でも、DV(家庭内暴力)を見たり、
暴言を受けたりする心理的虐待が増えていることを重視し、
DVの有無と児童がうけた影響についても項目を作った。

 中央児童相談所(千葉市)の渡辺直主席児童福祉司は、
「これまでは書いた人によって視点がばらばらだったが、
基本項目が押さえられることで、家庭の全体像が分かり、
アクションが起こしやすくなった」と評価する。

 県北西部に住む小学生の男子児童から、
「お父さんがお母さんを殴っている」と110番があったケースでは、
警察官が駆けつけると、父親が母親に暴力をふるっており、
近くで児童がおびえていたため、心理的虐待を受けていると判断。
児童相談所に通告する際、連絡票に「夫への厳重注意」
「心理的虐待あり」「児相へ通告すると夫に伝えた」などの内容を記載した。
連絡票を受け取った児童相談所は、緊急性が高いと判断し、すぐ自宅へ訪問。
児童相談所が来ると分かっていた父親は話し合いに応じ、
現在は再発防止のプランを児童相談所と立てている。

 連絡票が導入される以前では、このようなケースで児童相談所へ
通告をすることを親などの加害者が知らず、
「誰だ。何をしに来たんだ」と拒否されることが多かったが、
スムーズにその後の対応に移れるようになったという。

 2012年に県警に寄せられた児童虐待の情報提供は1491件で、
11年の405件の3倍以上に急増。
今年も10月末までに1362件で前年同期比152件増と増加傾向にあり、
県警から児童相談所への通告も同様に増え続けている。

 児童虐待に詳しい才村真理帝塚山大教授(児童福祉)は
「一定の様式があれば、児童虐待の対応で押さえるべきポイントを、
警察側が把握して聞き取りができ、児相との問題意識の共有もできる。
児相も子供への対応の見通しを早く立てられるはずだ」と評価している。(服部有希子)
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