触れ聴き学ぶ科学…視覚障害児童・生徒

YOMIURI ONLINE
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◆高松で中四国30人

 触ったり聴いたりすることを通じ、視覚障害のある子どもに
科学への理解を深めてもらうイベント「科学へジャンプ」が、
高松市扇町の県立盲学校で24日に開かれた。
中四国地区の小中高校生約30人が、
模型に触って鳥の大きさや体の仕組みを体感するなどした。
企画した教育関係者には、障害への配慮が
十分でない授業への危機感があるという。(松浦彩)

 視覚で理解するのが難しい子どもたちの学習を助け、
教える側のノウハウも高める機会にと、
障害児教育の研究者らが2008年から全国各地で開いている。

 子どもたちは8班に分かれ、二つずつのプログラムに参加。
鶏の手羽先に触って筋肉と骨を確認したほか、
針金やビニールひもを使った糸電話で音が伝わる仕組みを学ぶなどした。

 鳥の形や大きさを学ぶプログラムでは、様々な大きさの鳥の模型が用意された。
子どもたちは羽を広げたり閉じたりした模型に触り、
「スズメの大きさは握りこぶしくらい」と聞いて、納得した様子。
日本に生息する最小種の一つ「ミソサザイ」の模型を手にすると
「ちっちゃい!」と声を弾ませた。

 三豊市立大野小6年の山本理紗さん(12)は
「じっくり鳥について勉強したのは初めて。
実際に触って確かめると、話を聞くだけよりもずっと分かりやすい」と話した。

 イベントの音頭を取った元岡山県立盲学校長の河田正興さん(66)によると、
障害や難病があっても、通学先について
本人や保護者の意向を尊重する流れが強まり、
一般の学校に通う視覚障害児が増える傾向にある。
県立盲学校でも、児童生徒数はここ20年でほぼ半減している。

 だが、一般の学校では、理科の実験の際に「危ない」などの理由で
結果的に傍観することが少なくない。
河田さんは「目で見ないと分からないことを伝えるには、
専門的な工夫が必要だが、学校側の態勢は整っていない」と指摘する。

 参加した県立盲学校の藤尾陽子教諭(42)は
自身、植物が根から茎へと水分を吸い上げることを、
どう伝えるか悩んだ経験がある。
「こうした機会を通じてノウハウを共有したい。
学校の枠を超え、障害のある子が科学をともに体感できる
場づくりも考えていきたい」と話している。
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