こども発達支援センター1年 親「悩み話し救われた」

YOMIURI ONLINE
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 備後地方で、発達障害のある子どもの診察や支援などを担う
「こども発達支援センター」(福山市三吉町南)が、昨年11月の開所から1年を迎えた。
利用した人からは「悩みを打ち明けられ、精神的に楽になった」と好評だ。(佐藤祐理)

 センターは、福山、尾道、三原、府中各市と
世羅、神石高原両町、岡山県笠岡、井原両市の6市2町が共同で運営。
利用者数などに応じて、各市町が運営費を負担する。

 保育所や幼稚園、療育機関から紹介を受けた、
発達が気になる就学前の子どもが対象。
子どもの状況に合わせたプログラムに基づき、
遊びを通じた作業療法や言葉の発達などを促す言語聴覚療法などに専門スタッフと取り組む。
終了後は、支援連携票に子どもの特徴や日常生活のアドバイスなどを記し、
通っている幼稚園などとも情報を共有し、地元で継続的に支援を受けられる。

 福山市によると、今年8月までに427人、延べ1978人が利用し、
市外からは32人だった。現在は運営に関わる全市町から利用がある。

 備後地方の主婦(43)は長男(3)に発達障害があり、センターを利用した。

 長男には駐車場で車のナンバーを読み続けるなど、
こだわりの強い面や、教室のような刺激が多く広い部屋では
じっとしていられない多動の傾向などがあった。

 紹介を受け、昨年11月にセンターを訪問。
「長男は最初の面談で椅子に座っていられず、積み木で遊んでいた」という。
医師の診察などを受けた後、ボール遊びが好きな長男に合わせ、
はしごの上に置いたボールを取るといった
作業療法のプログラムが組まれた。

 小さな成功体験を積み重ね、母親らが褒めることで、
長男が新しい挑戦をしたいと思う動機付けにつなげた。
約10回の同療法を受け、最後の面談では長男は椅子に座り、
医師に「ありがとうございました」とお礼を言えるようになった。

 現在、長男は幼稚園と療育施設に通い、
英会話の授業が気に入っているという。
発達障害を受け入れるまでには葛藤もあったという母親は
「しつけではどうにもならない問題だけに、
誰に頼っていいのか分からなかった」と振り返り、
「苦しい思いを安心して話せる場があったことで救われた」と評価する。

 利用者からは、予約からセンターの保健師との面談までに約3週間かかるため、
「もう少し早くできないか」との声もある。
センターは4月から、相談件数に応じ、スタッフを増員して対応している。
センターは治療を担当するが、最終的には地元で支援を行う形のため
「子どもがより長い時間を過ごす地元の保育所や療育施設と、
日頃から職員が訪問するなど、情報交換をして、連携を深めている」という。

 センターは「利用者の意見も聞きながら、
子どもの成長に貢献できる施設になるようにしていきたい」としている。
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