発達障害窓口一つに…大津市、15年開所

yomiDr.
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 発達障害の子どもへの支援を強化するため、
大津市は保育園、子育て総合支援センター、保健所などに分散している
相談窓口を一元化して「子ども発達相談センター(仮称)」を開設すると発表した。

 小、中学校への進学などによって分断しやすいが、
幼児期から中学まで成長に合わせて一貫して支援を受けられるようになる。
明日都浜大津(浜大津)の1階に2015年2月のオープンを目指す。
情報共有で親子の負担軽減

 自閉症や学習障害など発達障害とされる症状は、
乳幼児検診などを通じて幼児期に分かることが多い。
しかし、診断のついた時期や支援内容によって、
保護者は、市健康推進課、子育て総合支援センター、
保育園・幼稚園などに個別に相談しなくてはならなかった。
制度が複雑で分かりづらく、窓口や施設の間で
情報の共有が徹底されていなかった。

 また、小中学校では支援の主体が学校と教師に代わるが、
環境の変化に対応するのが苦手な子どもたちには最もストレスがかかる。
しかし、学年が変わる度に保護者が一から説明して
理解と協力を得ていくなど重い負担になってきた。
市には「学校内ですら子どもの情報が共有されていない」など、
改善の要望が多く寄せられていた。
幼保・学校と連携、支援に継続性

 市健康推進課によると、発達障害や、
可能性のある子どもは3歳半~中学3年生に約2300人いると推計している。
08年度には3~5歳では240人を確認したが、
今年度は650人に増えており、対策強化が急務となっていた。

 開設予定のセンターは、小児科医や保健師ら各部署に分かれていた市職員を集約、
言語聴覚士らを新規採用して10人を配置する。
診断がついた子どもには、医療機関や幼保、
小中学校と連携し、子どもや保護者が継続してサポートを受けられるようにする。
学校や保育園などへも巡回し、教職員の相談や研修などにも対応するほか、
一般向けの啓発にも力を入れる。

 さらに、発達障害や精神疾患と関連する場合が多い
不登校の相談を受ける「教育相談センター」を、同じフロアに配置。
より専門的で、一体的な支援が受けられる態勢を整備する。
親の会と意見交換

 越直美市長は21日、言葉などに発達の遅れがある子を支援する
「県ことばを育てる親の会大津支部」のメンバー13人と意見交換を行った。
保護者から「学校や保育園・幼稚園の先生の知識が不足している」
「行政、学校、保護者の連携を深めてほしい」など切実な声に耳を傾けた。
越市長は「意見を踏まえ、全国に誇れる実りある支援センターにしたい」と話していた。
サポートあれば順応

 発達障害は、物事のとらえ方や行動、感情の抑制、コミュニケーションなどに偏りがみられ、
社会生活に支障がある状態を指す。
対人関係などに障害を抱えるアスペルガー症候群などの
広汎性発達障害、集中力が持続しにくい注意欠陥・多動性障害(ADHD)、
読み書きや計算が苦手な学習障害(LD)などの症状に分類されるが、
それぞれ違いがある。

 外見や短い時間では分かりにくく、周囲のサポートがあれば順応できることが多い。
一方、理解不足にさらされれば仲間はずれやいじめ、不登校などにつながりやすい。

 文部科学省の調査では、発達障害の可能性がある
公立小中学生は全国で約61万3000人、全体の約6・5%。
大津市でも今年度、3~5歳で発達障害の可能性のある子どもは約7%で、
小中学校ではクラスに1人程度いる割合になる。

 大津市では保護者が希望すれば、1~3歳は市立の療育センターでの保育が可能。
保育園か幼稚園では必要に応じて教員を多く充てている。
小中学校には特別支援学級があり、
専属の教員が1クラス8人以下できめ細かく指導する。
通常学級では支援員を配置する場合がある。
また、教科に応じて両学級を行き来する「交流学級」も行っている。(高山千香)
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