児童手当差し押さえ 控訴審判決も「違法」

YOMIURI ONLINE
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 滞納した県税回収のため、県が鳥取市の男性(41)の銀行口座に振り込まれた
児童手当を差し押さえたのは違法だとして、
男性が手当13万円の返還と慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が
27日、広島高裁松江支部であった。
塚本伊平裁判長は、振り込み9分後に差し押さえられた13万円には
児童手当の属性があり、「差押等禁止債権」にあたると判断、
「児童手当法に反し、差し押さえは違法」として
1審・地裁判決を支持、県に13万円の返還を命じた。

 1審判決では「権限の乱用」とされた差し押さえ自体については、
県に不法行為となる故意や過失はないとの見解を示し、
慰謝料25万円の支払いは取り消した。

 判決によると、県は2008年6月、県税約21万円を滞納していた男性の口座に
手当13万円が振り込まれた9分後、預金を差し押さえた。
振り込み前の口座残高は73円だった。
県は一貫して「手当だと認識していなかった」との主張を繰り返していた。

 終了後、記者会見した原告側弁護士らは
「県の不法行為が認定されなかったことは残念だが、
(預金となった時点で原則差し押さえ可能とする)
最高裁判決の例外を認めた点で意義がある」と評価した。

 末永洋之・県総務部長は「判決内容を精査して
今後の対応を協議したい」との談話を発表した。

 総務省自治税務局企画課は取材に対し
「差し押さえをする際にどこからが違法になるのか、
今回の判決をもとに基準を検討していきたい」とした。
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