子どもSOSしやすく 川西で自殺防止へ提言

YOMIURI ONLINE
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 川西市の第三者機関「子どもの人権オンブズパーソン」は、
子どもたちを自殺させないための提言をまとめた。
同市で昨年9月に自殺した県立高校2年の男子生徒(当時17歳)が
いじめを受けていた問題を受け、調査にあたった経験を踏まえ、
子どもたちの現状を分析。SOSを発信しやすくし、
「居場所」を作ることなどを求めている。(澤本梓)

 オンブズパーソンは、子どものいじめなどの問題に対応するため、
1999年に市が国内で初めて導入。
学識者や弁護士ら3人と相談専門員で構成され、
子どもからの相談を聞いて独自に調査し、
必要があれば学校や市教委、保護者との調整にもあたる。

 男子生徒の自殺を巡っては、両親からの申し立てを受け、
学校側の第三者委員会とは別に調査。
3月には、「いじめが直接自殺に結びついたとは判断できないが、
いじめを含む学校内での人間関係が原因となった可能性は極めて高い」
などとする報告書をまとめた。

 提言では、男子生徒は誰にもいじめを気付いてもらえず、
伝えることもできない状況で、豊かな人間関係を築く機会がないまま、
希望を見いだせなかったと分析。
〈1〉学力重視の流れの中で無力感を募らせ、将来への希望を見失う子もいる
〈2〉地域での人間関係が希薄になっている
〈3〉高校に進学しない子や、中途退学した生徒への支援体制がない
――といった構造的な問題があると指摘した。

 その上で、〈1〉学校やオンブズを活用し、子どもがSOSを出しやすい環境を作る
〈2〉高齢者への食事提供の手伝いなど地域活動に参加し、
異世代との交流を進めて「居場所」をつくる
〈3〉いじめを被害者と加害者の対立で捉えず、
子ども同士で関係を改善・修復できるよう援助する――ことなどを求めている。

 ただ、オンブズパーソンの存在を知らない子どもも多いとし、
浜田寿美男代表は「出前講座などで学校へ積極的に出向き、
オンブズの認知度を高めていきたい」と話した。
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