勝手にロック解除…スマホ子育て、親子とも注意

YOMIURI ONLINE
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 子育て家庭でのスマートフォンの利用が増えている。
親がスマホに気を取られ子どもの安全に配慮できない状況や、
子どもに使わせて心身の発達に影響がないかも心配になる。
乳幼児のいる家庭は特に、スマホの使用に注意を払いたい。

 東京都渋谷区の小児科「かずえキッズクリニック」では、
待合室の長いすで親がスマホの画面に見入っているうちに、
赤ちゃんがいすから落ちるなど、ヒヤリとする場面がよくあるという。
院長の川上一恵さんは、「スマホの画面を見ていると視野が狭くなり、
子どもの近くにいても危険を察知できないことがある。
乳幼児の見守りが必要なときの使用は控えて」と注意を促す。

 幼稚園児や保育園児の親のスマホ利用について調査している
NPO法人子どもとメディア(福岡市)によると、
「気づいたら、子どもが延々とスマホを使っていた」
「勝手にロックを解除していた」といった悩みも生じている。

 代表理事の清川輝基さんは、「幼児でも触っているうちに操作できてしまう。
子どもが勝手に使わないようにする必要がある」と指摘する。
まず、スマホは親の道具であり勝手に使ってはいけないことを教える。
さらに子どもの手の届かない場所に置くようにする。

 日本小児科医会では2004年に子どもとメディアの接触について提言(別表)をまとめている。
この提言はテレビやビデオ、パソコンについて言及したものだが、
「これにスマホを加えて考えてほしい」と、同会常任理事の内海裕美さんは言う。
同会では、来月から「スマホに子守をさせないで!」と呼びかける啓発活動を始める。

 「乳幼児期の親子のふれあいや対話は、子どもの発達に欠かせない。
スマホの画面をタッチするだけでなく、積み木や石ころなど様々なものを触って
触覚などを刺激することや、外遊びで体を動かすことも大切にしてほしい」と内海さん。

 ただ、スマホの普及に伴い、最近はしつけや遊び、
知育をうたった子ども向けのアプリが登場し、利用者も急増している。
そうしたなか、アプリの企画・販売企業が独自に利用上のガイドラインを作成し、
親子で会話しながら使うことや、創造的な活動になるよう工夫することなどを提唱している。

 東海学院大学講師、佐藤朝美さん(幼児教育工学)は、
「無料のアプリをよく吟味せずに使ってしまいがち。
おもちゃや絵本を購入するときと同様に、内容をよく確かめて」と勧める。

 使わせる場合には、大人が一緒に見て会話を交わすようにする。
うまく声をかけられない人は、
〈1〉「○○ちゃんは、それを選んだんだね」など、子どもの行為を言語化する
〈2〉「その色にしたのはなぜ?」など、操作の理由を聞く
〈3〉操作の結果を褒める――ようにする。

 「スマホはあくまで現実の経験を補う程度のものと考えて、
生活全体を見渡して利用のあり方を考えることが大切です」と佐藤さんは話す。
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