難病対策 子供の負担額は大人の半分に 制度見直しで「20歳の壁」解消へ

msn産経ニュース
------------------------------------------------------------------------------------------------
 厚労省が13日に示した難病対策の最終案は10月の当初案に比べ、
大幅に患者の負担が軽減される内容となった。
一時は高額な負担額を示され、不安を抱えてきた患者らは
「この額であれば頑張れる」と安堵(あんど)の声をあげる。
子供の負担額は大人の半額とする小児慢性疾患の制度見直し案も併せてまとまった。
小児のうちは助成を受けられながら、成人すると支援から外れてしまう
「20歳の壁」問題の解消にもつながりそうだ。

 「子供のころに発症する難病も多く、負担が大人の半分になるのは本当にありがたい」。
これまで難病、小児慢性疾患ともに支援の対象から外れてきた
「クリオピリン周期熱症候群(CAPS)」患者・家族の会の
戸根川理登さん(41)は感想を述べた。

 戸根川さん方は娘の貴理(きり)ちゃん(8)が1歳になってまもなく難病を発症した。
症状を抑えるために1本130万円もする注射を
毎月打ち続けなければいけない患者も多く、
高額療養費制度を使っても負担は大きかった。

 現行の難病の制度では、医療費助成の対象が56疾患に限られている。
児童福祉の観点から、幅広く助成対象を決めていた
小児慢性疾患では助成対象になりながら、成人すると、
支援の対象から外れてしまうケースも少なくなかった。

 紫外線に当たるとやけどをしてしまう子供に多い難病「色素性乾皮症」や、
睡眠時などに呼吸機能が低下する「先天性中枢性低換気症候群」などが
新制度で難病指定されれば、こうした「20歳の壁」問題の解消にもつながる。

 NPO「難病のこども支援全国ネットワーク」の小林信秋会長は
「小児慢性疾患の子供は現在11万人おり、うち難病患者は3割強。
こうした子供たちが成人後も支援を受けられるのは一定の成果だ」という。

 難病対策委員会の委員の一人で、日本難病・疾病団体協議会の
伊藤たてお代表理事は「対象疾患が大幅に増えることも含め、
世界的にも通じる難病対策になるのではないか」と意義を強調する。

 新制度では医療費助成のみならず、新薬の研究開発の推進や、
軽症患者の就労支援なども盛り込んだことについて、
「多くの患者が必要としており、非常にうれしい」とする一方、
「医療費助成の面では、低所得者への支援になお課題がある」と述べた。

 全国膠原病(こうげんびょう)友の会に所属する
日本難病・疾病団体協議会の森幸子副代表理事は
「膠原病と一口にいっても、ひとつの疾患ではなく約20種ある」と指摘。
「現在はそのうち約半分しか医療費助成の対象になっておらず、
支援の内容に差があった。こうした問題が解消されることを期待している」と述べた。
------------------------------------------------------------------------------------------------