SankeiBiz様
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米ミズーリ州カンザスシティーで生まれたキラ・ウォーカーちゃんが
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米ミズーリ州カンザスシティーで生まれたキラ・ウォーカーちゃんが
生後3カ月の時、小児科医がある問題に気づいた。
彼女はおなかが空くことが多く、明白な理由がないにもかかわらず、
危険なほどの低血糖状態に陥ることがあったのだ。
キラちゃんのDNAはチルドレンズ・マーシー病院の遺伝学者、
キラちゃんのDNAはチルドレンズ・マーシー病院の遺伝学者、
スティーブン・キングズモア氏に送られた。
同氏は乳児の原因不明の病気の約半分について、
1~2日で診断を下すことができる。
つい最近まで、こうした謎の症状の原因特定には何年もかかるか、
あるいは特定できないことも多かった。
◆新たな治療法発見
米国では、国の資金提供によって、乳児の遺伝子診断を推進する
◆新たな治療法発見
米国では、国の資金提供によって、乳児の遺伝子診断を推進する
5年間のプロジェクトが進行中だ。
その一環として何百人もの乳児のDNAが解読されている。
キングズモア氏を含む数人の科学者らは、
特異な疾病の乳児の治療法を開発するための技術で、
遺伝子配列の解析を次のステージに導こうとしている。
一部のケースでは、遺伝子異常のこれまでにない治療法が発見されている。
キングズモア氏は「患者のカルテにゲノム情報を加えることで
キングズモア氏は「患者のカルテにゲノム情報を加えることで
医療が変革される可能性があるというのが全体的なコンセプトだ。
医術はより科学に近づくだろう」と述べた。
米国臨床遺伝学会(ACMG)のエグゼクティブ・ディレクター、
米国臨床遺伝学会(ACMG)のエグゼクティブ・ディレクター、
マイケル・ワトソン氏によると、米国で生まれる子供の約5%、
人数にして年間約20万人が希少疾患を抱えている可能性がある。
乳児の遺伝子検査によって、例えば早期老化症といった病気に
乳児の遺伝子検査によって、例えば早期老化症といった病気に
光がもたらされる可能性がある。
ワトソン氏によると、乳児の遺伝子を検査することで
病気に関するさらなる知識が得られる可能性があり、
場合によっては早期の実験的治療が実現するだろう。
遺伝子配列の解析によって細胞が持つゲノム、
遺伝子配列の解析によって細胞が持つゲノム、
つまり体の組織をつくったり維持したりするための設計図が明らかになる。
ゲノムは世代間で変化するが、一部の変化は疾患を引き起こすことがあり、
希少で深刻な疾患になる場合もある。
それゆえ乳児の遺伝子検査には大きな可能性があるのだ。
しかし、医療の専門家が遺伝子レベルの多様な情報を取得することについて、
しかし、医療の専門家が遺伝子レベルの多様な情報を取得することについて、
依然として慎重な親や医師は多い。
誰が費用を負担するのか、家族はどこまで情報を共有すべきか、
対象は病気の乳児だけなのか、といった疑問が残るからである。
キングズモア氏はプログラムの一環で遺伝子検査を実施しているが、
この検査を無料で受ける条件を満たす病気の子供の親のうち、
約4分の1が検査を辞退するという。
しかし、検査を受けた場合には、劇的な効果がすぐに表れる可能性がある。
しかし、検査を受けた場合には、劇的な効果がすぐに表れる可能性がある。
チルドレンズ・マーシー病院でキングズモア氏が実施しているプログラムは、
世界でも最も先進的なものの一つだ。
遺伝子解析装置最大手のイルミナが提供する強力な装置を用いて、
1人の子供の全ゲノム情報を24時間以内に解析することができる。
情報の解読も含めて、費用は約1万2000ドル(約125万5300円)だ。
10年前に同じ作業をしようとすれば、
10年の歳月と20億ドルを費やす必要があった。
結果が出れば、大抵は10分以内に
病気と関連する突然変異を見つけ出すことができる。
◆低血糖状態を改善
キラちゃんが空腹なそぶりを見せることが多くなったのは、
◆低血糖状態を改善
キラちゃんが空腹なそぶりを見せることが多くなったのは、
昨年7月のことだった。
母親のアマンダ・ウェッブさんは「娘はいつもおなかを空かせていた。
ひたすら食べ物を欲しがった」と振り返る。
キラちゃんは乳児にしては血糖値が異常に低く、
キラちゃんは乳児にしては血糖値が異常に低く、
脳にダメージを与える可能性があることが分かった。
キラちゃんを診察したチルドレンズ・マーシー病院の内分泌学者、
マーク・クレメンツ氏は、彼女にブドウ糖を点滴し、
血糖値を下げる働きがあるインスリンの生成を抑える薬を投与した。
しかし効果は出なかった。
しかし効果は出なかった。
キラちゃんの血糖値は危険なほど低い状態が続き、
しばしば倦怠(けんたい)感を示し、呼びかけに反応しないこともあった。
クレメンツ氏はキングズモア氏に、キラちゃんの遺伝子解析を要請。
金曜日の夜に検体がゲノムセンターに送られ、
日曜日にはクレメンツ氏に結果が報告された。
同氏は「最初のヒトゲノム解析には数年間を要したが、今では週末だけで十分。
信じられないほど素晴らしいことだ」と述べた。
キラちゃんの遺伝子の解析結果は、極めてまれなものだった。
キラちゃんの遺伝子の解析結果は、極めてまれなものだった。
彼女は父親から、インスリンを生産する細胞の活動を異常に活発化させてしまう、
突然変異の遺伝子を受け継いだ。
しかしなぜか、この突然変異は彼女の細胞のごく一部でしか起きていなかった。
インスリンを生成する膵臓(すいぞう)を全摘出すると、今度は糖尿病になってしまう。
インスリンを生成する膵臓(すいぞう)を全摘出すると、今度は糖尿病になってしまう。
しかしキラちゃんの担当医は、問題の箇所のみを一部摘出し、
残りの部分で引き続きインスリンを生産する方法を選ぶことができた。
母親は「とても安心した。一時は切迫した状態に陥って、
何が起こっているのかほとんど分からなかった」と述べた。
キングズモア氏は「目標はすべての赤ちゃんが恩恵を得ること。
キングズモア氏は「目標はすべての赤ちゃんが恩恵を得ること。
遺伝子検査で恩恵を受けられそうな子供は全員検査し、
治療の可能性を検討すべきだ」と述べた。
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