児童生徒への貸出数が増加

長崎新聞
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 子どもの「活字離れ」が指摘されて久しい。
県内の学校図書館(室)や公立図書館の利用状況を問い合わせたら、
児童生徒らが学校で借りたり読む本の数は総じて増えていた。

 県教委生涯学習課によると、市町立小中学校の図書館で児童生徒1人が
1年間に借りた平均冊数は、2008年度30・8冊(小学生43・2、中学生6・7)だったが、
12年度は47・4冊(小学生67・2、中学生9・7)に伸びた。

 その要因として同課は、学校で図書館業務に携わる職員(学校司書)の配置を
市町が増やしたことなどを挙げ、
「子どもが本の相談を司書にするなど
利用しやすい環境に変わったからでは」と分析する。

 学校司書は08年度は59校に60人いた。
12年度は増えて、公立全小中学校の64%に当たる340校に207人。
司書のいる学校が、いない学校より貸出冊数が多いという。

 学校司書がいる長崎市立大浦中の場合、
生徒への平均貸出冊数は13年度36・7冊。
同市の図書館教育校に指定され、司書は授業で使う本の用意や、
授業に参加して本の説明もする。

 司書の小林香さんは「図書室にくる生徒からは本に限らずいろんな相談を受ける」、
田中法斉校長は「司書の効果的な活用ができている」と話す。

 県立高の場合はどうか。
県教委高校教育課によれば、学校図書館で
生徒が1年間に借りた平均冊数は12年度5・9冊で、08年度とほぼ横ばい。

 だが1カ月に読む平均冊数は12年度3・8冊(全国1・6)で、
08年度3・2冊(同1・5)に比べ増加。
同課は「学校で取り組んでいる朝の読書推進事業の成果では」。

 大学でも学生への貸出冊数が増えている。
長崎大付属図書館(中央図書館、医学分館、経済学部分館)の
01年度の学生向け貸出冊数は5万8200冊だったが、
11年度は6万5247冊となっている。

 一方、佐世保市立図書館の12年度の小学生への貸出冊数は17万663冊、
中学生2万4260冊、高校生1万4863冊。
03年度比で小学生は約2万4800冊増えた半面、
中学生は約3500冊、高校生は約7千冊減った。
貸出者数も同じ傾向となっている。

 同館は12、13~19歳を指す「ヤングアダルト(YA)」世代対策が
不十分だったとして3年前、同世代コーナーを児童室に加え
一般向け書棚にも設けた。
学校などとの連携にも取り組み、配置した支援担当司書が
小中学校などを回り本の紹介をしたりしている。
渡辺恵美館長は「本と子どもを結び付ける仕組みを求め
試行錯誤している」と話す。

 長崎市立図書館もヤングアダルト向けに、
職業など将来の進路を考えるのに役立つ読み物などをそろえているという。

 県立長崎図書館の12年度の子ども向け貸出冊数は、
7~12歳が2960冊、13~18歳2377冊。
08年度に比べ7~12歳は増加したが13~18歳は減少。
同館は子どもの読書推進活動として、
小中高校生対象にお薦めの本をはがきなどで応募してもらう事業などを展開している。
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