「協調学習」が伸ばす思考力

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 埼玉県は東京大学と連携し、仲間と話し合いながら
自分なりの理解を深めていく「協調学習」を公立高校などで試みている。

 生徒の思考力やコミュニケーション能力を伸ばすのが目的だ。

 この学習は、東大の大学発教育支援コンソーシアム推進機構の
三宅なほみ副機構長が考案した「知識構成型ジグソー法」に基づいて行われている。
グループに分かれて資料を読み、それぞれ理解した知識を持ち寄ることで、
与えられた課題の全体像をつかみ、解決を目指していく手法だ。

 県は2010年度から開始。今年度は公立高校と県立中学校の
計76校が研究指定校として参加している。

 春日部市の県立春日部女子高校では
昨年11月、2年生が国語の授業で、夏目漱石の小説「こころ」を教材に取り組んだ。
筧美和子教諭(49)の指導で、3、4人の班ごとに
「先生」や「K」など登場人物の一人について心情を考察。
その上で、各班から一人ずつ集まって新しいグループを作り、
班で考察した結果を伝え合いながら、
「困難にめげずに未来をひらくにはどんな心が必要か」をテーマに意見交換した。
「柔軟に立ち向かうことが必要」「利己的でも自分の意志を貫いたほうがいい」などと、
議論が白熱する場面もあった。

 小林寧々ねねさん(17)は「友だちの考えを聞き、
小説がより理解できた」と話した。

 ジグソー法は国語に限らず、ほぼ全教科で取り入れられている。
「赤い焼きそばを作るために必要な調味料は何か」(化学)、
「日本のお坊さんはなぜ結婚しているのか」(日本史)など、ユニークな課題も多い。
生徒の学習意欲が高まり、表現力や問題解決能力が身に着きやすくなるという。

 県教委高校教育指導課は「全員が互いに知識を伝える役割を担うので、
一部の生徒だけが活動することにならない。
時間内に自分の考えをまとめなければならず、
大学入試の論述問題を解くのにも役立つ」と話している。
(さいたま支局 南智佳子)
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