妊娠中のビタミンD 子どもの健康に長い間影響

Qlife Pro
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妊婦さんが摂るビタミンDの量は、赤ちゃんの筋肉の強さにリンク

ビタミンDは、筋肉や骨の強さにかかわるビタミンです。
ビタミンDを摂る量が少ないと、大人でも子どもでも筋肉が弱くなることが知られています。
けれども、これまで妊婦さんとお腹の赤ちゃんの影響については
あまり詳しい報告がありませんでした。

しかし今回、イギリス・サウサンプトン大学の
ニコラス・ハーベイ氏らが行った調査の結果、
ビタミンDを妊婦さんがきちんと摂ることで
赤ちゃんの筋肉を強くする働きがあることが分かりました。

調査が行われたイギリスに限らず、日本を含む世界各国で、
ビタミンDの摂取が足りていない人が多く、
日本でのその割合は7割近いともされています。
このため、妊娠してもビタミンD不足を持ち越してしまう女性が多いそうです。
イギリスでは、妊婦さんは通常の量に1日10μgを
サプリとして追加することが望ましいとされています。

握力は様々な健康のバロメーター

今回の調査では、12,000人を超える女性の、
妊娠34週でのビタミンDの摂取状況を調べました。
そして、そのうちの678人について、生まれた子どもたちが
4歳になったときの筋肉の状態を調べました。
筋肉の密度には変わりがなかったものの、
ビタミンDを十分に摂っていたお母さんから生まれた子どもは、
握力がより強いことが分かりました。

握力テスト(グリップストレングステスト)は、
様々な検査の指標として用いられるテストです。
たとえば、厚生労働省の研究班として
九州大学の熊谷秋三教授たちが行った調査では、
握力が強い人は、脳卒中など命にかかわる病気にかかるリスクが
低くなることがわかっています。
このようにお母さんが妊娠中に摂取するビタミンDは、
その後の子どもたちの生涯において、長く影響を及ぼすと考えられます。

ビタミンDは食品として摂取するだけではなく、
太陽の光に当たることで、身体の中で作られるビタミンでもあります。
と言っても、紫外線の害を受けるほど日光に当たる必要はありません。
家事の合間や買い物時などに、日光に当たることを利用し、
ビタミンD不足を解消するようにしましょう。
欠乏症が気になるときは、産婦人科の先生に
サプリについて相談してみるのも一案ですね。(唐土 ミツル)
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