新教科「日本語」導入準備…効果は?負担は?

YOMIURI ONLINE
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 佐賀県鳥栖市教委が2015年度から、市内の小中学校全12校で
九州では初となる新教科「日本語」の導入準備を進めている。

 市教委は「言語能力を高め、国際社会で活躍できる人材を育てる」と導入効果に期待する。
一方、新たな負担が増える教諭たちには不安が広がる。

 「日本語」の教科導入は、東京都世田谷区が全国で初めて
文部科学省の教育課程特例校制度を活用し、
言語を通じて子どもの思考力や表現力を育てようと、07年度からスタート。
現在、区内の全小中学校93校で週に1回、年間35時間の授業を行っている。

 区教委は、独自に教科書も作成。
小学1年生の授業では、俳句や和歌、漢詩、論語の音読・暗唱を行う。
区教委教育指導課は「子どもが古文や漢文への関心を持つようになった。
節分などの古来からの年中行事についてもしっかり学べる機会ができた」と手応えを感じている。
09年度からは新潟県新発田市も導入している。

 鳥栖市では、09年に世田谷区教委の教育長が市内で
日本語教育について講演して以降、導入への機運が高まり、
昨年6月、学識者や小中学校長らによる検討委員会
(委員長=光田明正・桜美林大孔子学院名誉学院長、9人)を設置。
授業内容などについて議論し、小中学校教諭20人による編集部会は、
市独自の教科書作りも進める。

 今月には、新教科の骨格となる基本計画も策定し、
「豊かな日本語を身につけ、鳥栖市を愛し、
次世代を担う子どもの育成を目指す」と意義付けた。
▽思考力や表現力を伸ばし、すべての教科で学力向上が期待される
▽伝統文化や礼儀作法に触れることで、日本の文化を深く理解することができる
▽(現在行われている)小中一貫教育の柱として行うことで、
魅力ある学校をつくることができる――などを期待される成果として挙げている。

 授業内容は、四つの指導領域を設定。
漢詩や論語の朗読を行うほか、独自の取り組みとして
鳥栖市や県の歴史や文化も教える予定。
授業時間は、国語や総合学習の時間などを一部活用し、
小学1、2年と中学1年で年間20時間、
小学3~6年、中学2、3年で同35時間を充てる。

 今春から1年間、鳥栖小、鳥栖北小、鳥栖中の3校で
試験的に授業を導入し、その成果を分析する方針だ。(大島朋幸)
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