子どもの骨折から虐待を見分けるためのガイドライン-米・小児科学会

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乳児の「肋骨骨折」や「長管骨幹端の病変」に注意

小児骨折と虐待の関連をまとめた米国小児科学会
(AAP:The American Academy of Periodontology)のガイドラインが、
エマリー・G・フラハティ氏(Emalee G. Flaherty, MD, FAAP)らにより改訂された。
新しいガイドラインは、1月27日、電子版AAP雑誌
ペディアトリクス(Pediatrics)に掲載された。

骨折に至る詳細な経緯 兄弟の外傷歴も診断のカギに

骨折は、虐待によって子どもが受ける外傷のうち、挫傷に次いで2番目に多い。
乳幼児における骨折の12~20%は虐待が原因とされる。

AAPによる今回のガイドラインでは、最近までに明らかになったデータを全てレビューし、
虐待による骨折の特異性、骨折のメカニズム、
さらに、虐待以外の原因に留意するために
骨折しやすい疾患について報告している。

また、乳幼児の造影所見にみられる特異性、
小児の骨折から虐待が強く疑われる場合をそれぞれ、
一覧にして、素早く参照できるようにしている。

高特異的な骨折で特に注意が必要なものとしては、
乳児における後内側の肋骨骨折と、長管骨幹端の病変を挙げ、注意を呼びかけている。
また、中程度および低特異性についても列記しており、
通常は被害的損傷とされない骨折であっても、
虐待が原因である可能性がゼロではないことを認識すべきとしている。

小児の骨折から虐待が強く疑われる場合としては、
高特異的な骨折に加えて、骨折に至る経緯説明が保護者から得られない、
経緯説明が実際の骨折が有すべきメカニズムと異なる、
保護者の説明が低エネルギー骨折(階段からの転落など)によるものである、
複数種類の骨折などが挙げられている。

ガイドラインは、骨折に至る完全な経緯説明と外傷歴の聞き取りの重要性を強調しており、
話すことが可能な小児の場合は、保護者と別室で聞き取りを行うべきとし、
法医学の専門を有する者が行うことが理想としている。

専門家への支援・助言要請と、報告義務の遵守を

米国では、子どもへの虐待やネグレクトが疑われるケースに遭遇した場合、
州ごとに定められた手続きに従って報告する義務が、
医師やその他の医療従事者に対して課せられている。

報告の段階では明白な証拠を得ることは求められておらず、
ガイドラインでは、誤診の可能性に留意すべきとしつつも、
報告義務の遵守を呼びかけている。

そして、1歳未満あるいは、まだ歩き始めることができない
乳幼児の場合などは特に、幼児虐待を専門とする小児科医や、
場合によっては複数の専門家の支援を要請することを求めている。
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