乳児うつぶせ死訴訟 和解

YOMIURI ONLINE
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 天童市の無認可保育施設「みんなのベビーホーム」(閉園)で
2007年11月、うつぶせに寝かされていた生後4か月の沼沢悠妃ちゃんが死亡し、
遺族が元園長ら3人と同市、県を相手取り、慰謝料など
計約4600万円を求めた訴訟は24日、
山形地裁で遺族と元園長、保育士2人との間で和解が成立した。
遺族側は同日、市と県に対する訴えの取り下げ書を地裁に提出した。

 遺族側代理人によると、和解は総額1000万円を支払う内容で、
元園長が800万円、保育士2人が100万円ずつ支払う。
元園長は代理人を通じて、「ホームを代表して悠妃ちゃんの遺族の方に
心から謝罪申し上げました。多くの方にご心配をおかけしましたこと、深くおわびします。
今後ともご冥福を祈っています」とコメントした。

 和解成立後、悠妃ちゃんの母の後藤春香さん(31)、
祖父健さん(63)と祖母澄子さん(55)が山形市役所で記者会見した。
春香さんは「『やっと終わった』と娘に報告できる。
つらい6年だったが、このような結果で終われて良かった」と涙を浮かべた。

 一方、訴訟では、悠妃ちゃんがうつぶせで寝かせられ放置された結果、
窒息死したかどうかが争点の一つとなったが、結論は出なかった。
春香さんは「窒息死と断定できないし、突発死とも認めたくないという葛藤はある。
結果に納得できないわけではないが」と複雑な胸の内も明かした。

 同席した長岡寿一弁護士は、悠妃ちゃんがいた部屋には
10人の乳児がいたが、保育士が1、2人と少数で対応したり、
不在の時間があったりするなど、ずさんな保育が日常的に行われていたことが
裁判を通じて明らかになったと指摘。
この日、元園長から初めて謝罪の言葉があったことをとらえ、
「園側の体制不備を認めた格好だ」と述べた。

 また、県と市への訴え取り下げについて、
青木和子弁護士は「ここで区切りがついたので」と語った。
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