津波から子供を守る 文科省、学校の指針改定へ

日本経済新聞
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 東日本大震災の被害を踏まえ、学校の津波対策を検討してきた
文部科学省の有識者会議は27日、報告書をまとめた。
南海トラフ巨大地震などに備え、沿岸部に立地し
子供たちの避難場所がない学校について、
高台移転や校舎の高層化を自治体に促す。
屋上に食料を備蓄することや周辺高層ビルへの避難路の整備なども求めた。

 文科省は今秋にも学校施設整備指針を改定。
学校の防災機能を強化するため自治体への財政支援の上乗せも検討する。
津波被害が想定される学校が全国にどれくらいあるか実態を調査する。

 東日本大震災の津波で宮城県石巻市立大川小の児童・教職員計84人が
死亡、行方不明となったことを踏まえ、学校の津波対策を協議してきた。

 報告書では、学校敷地の標高や海岸からの距離、
周辺の建物の立地状況などを勘案し、
3つのパターンに分けて津波対策を示した。

 国や自治体の津波被害想定で、校舎屋上まで浸水する恐れがあり、
近くに避難できる高台や高層ビルがない学校については、
高台移転や校舎の高層化が必要だとした。
この場合、国による財政支援が欠かせないとした。

 津波が来ても校舎屋上まで浸水しないと想定されている学校は、
屋上や上層階への野外避難階段を整備するよう求めた。
児童生徒や教職員だけでなく地域住民も利用できるようにする。
津波到達後は孤立の恐れがあるため、屋上に食料備蓄倉庫を設けるよう提言した。

 想定される津波到達時間まで比較的余裕があり、
周辺に避難できる高台や高層ビルがある学校は、子供が混乱なく逃げられるように、
幅の広い避難路の整備を急ぐべきだとした。
車いすの利用者に配慮し、避難路は階段ではなく
スロープの採用が望ましいとした。
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