最近増えてる「パパサークル」の実態は? 定例会、イベント、救急講座…密着取材!

日刊アメーバニュース
------------------------------------------------------------------------------------------------
ユーザーから投稿された「キニナル」情報を検証すべく「はまれぽ」が体を張って調査!

「ウレぴあ総研」でこの記事の完全版を見る【動画・画像付き】

今回のテーマは…

<横浜のココがキニナル!>
ママサークルはよく耳にしますが、パパサークルってのも最近はあるようですが・・・
横浜を拠点としてるパパサーってあるのかな?(いぶちん☆さんのキニナル)

パパサークルとは父親の育児を支援し、
子どもと一緒に成長する機会を創出し仕事と家庭の調和を目指した活動のこと。
近年、ライフワークバランスの変化により、
育児をする男性を指す「イクメン」という言葉が聞かれるようになっており、
子育てに熱心な「パパサークル」の存在も、各地で増えてきている。

では、横浜市の場合はどうなのだろう。
横浜市こども青少年局企画調整課に聞いてみたところ、
パパの育児を支援するサイト「ヨコハマダディ」内にある
「パパスクール」というページに、その詳細が載っているという。
 
さっそく同サイトを確認してみると、横浜市内の各区に
1カ所ずつ地域子育て支援拠点という施設があり、
パパ向けのスクールや講座などを開催しているようだ。

では、パパサークルはどうなのだろう。
すべての拠点に電話で確認してみると、港北区、神奈川区、港南区の3拠点で
パパサークルが活動しているらしい。

中でも港北区にある「どろっぷ」という施設を拠点にしている
「どろっぱ」というサークルが最も古く、定期的なイベントなども、
随時行っていることが分かった。

そこで「どろっぷ」に連絡し、パパサークルの
イベントを取材をさせてもらうことになった。

野田首相も視察に訪れたパパサークルとは

お話を聞けたのは、横浜市から「どろっぷ」の運営を委託されている
「NPO法人びーのびーの」の、原さんと大槻さん。

原さんによれば、地域子育て支援拠点とは、
横浜市が取り組む次世代育成支援行動計画
「かがやけよこはま子どもプラン」の一環として設立されたそうだ。
中でもこの「どろっぷ」は、ほかの18区に先行したモデル事業として、
2005(平成17)年に誕生したという。
なお現在では、すべての区に一つずつ、こうした拠点が整備されている。
 
また、「どろっぷ」を拠点とするパパサークルとしては、
唯一「どろっぱ」という団体があり、今年で8年目を迎えるという。
メンバーは約20人で、花火大会など、月に1回程度のイベントを開催している。

その活躍には、野田佳彦首相も視察に訪れたことがあるほど。
また、港北区から引越していったメンバーが、
移転先で新たなパパサークルを主催する例もあるのだとか。

当日は、日本赤十字社から講師を招いた、
幼児のための救急講座が行われていた。
大槻さんいわく、今回は横浜市が主催する講習なので、
「どろっぱ」のメンバー以外にも広く参加を求めたとのこと。
その結果、定員となる15人のパパと、ご家族が参加することになった。

では、実際の様子を、密着取材させてもらうことにしよう。

蘇生法の訓練人形「ジャミー君」登場

講習の最初のプログラムは、気道異物の除去方法だった。
これは、何でも口に入れたがる乳幼児が、
誤って喉にものを詰まらせてしまった場合の対処法である。

最初に、日本赤十字社の萩原先生がお手本を見せる。

注意するポイントは、赤ちゃんを誤って落とさないよう
腕にしっかりまたがせること、口から出したものを再度飲み込まないよう
頭の方を低くすることなど。
参加者は、どの程度強くたたいていいのかという力加減を、
人形を使って実際に体験していた。

続いて、AED(自動体外式除細動器)による救命措置の練習が、
「ジャミー君」という専用の人形を使って行われた。
ちなみにその価格は、AEDの機器と合わせると、1セットで約30万円なのだそうだ。
 
その日、用意されたのは4体のジャミー君。当然だが、回が進むごとに、皆さん上手になっていった。それぞれ初めてであるにも関わらず、人のやり方を見ながら、覚えていく部分もあったのだろう。

最後は受講証を発行

続いて、ハンカチやパンティストッキングなどを使った、傷の応急処置法の実演となった。
今回は人形ではなく、ママやお子さんに協力してもらいながら実践していた。

こうして約2時間の講習を終え、皆さんに受講証が手渡された。

本来のパパサークル「どろっぱ」は、地域のお祭りを一緒に盛り上げたり、
イクメンの情報交換を行ったりしているらしい。
しかし今回の講習では、ママにも知っておいて欲しい救急法であったため、
家族での参加になったようだ。

普段の「どろっぱ」活動例

今回の幼児のための救急講座は、サークルというよりも、
スクール的な要素が強い内容だった。
そこで後日、パパサークル「どろっぱ」の定例活動も取材させていただいた。

この日参加したパパさんは、合計8人。
うち3人が初参加とのことで、まずは簡単な自己紹介が行われた。
続いて司会役の大槻さんが、パパならではの「悩み」を聞き出していくと、
「育児ストレス」や「夜泣き」などの話題が交わされるようになっていった。

「ストレス発散には、ランニングがいい」と話すのは、
「どろっぱ」参加歴4年の坂井さん。
常に子どもにかかりきりの生活の中、
1人で過ごせる時間が作れるので、頭を整理することにも役だっているのだとか。
また、夜泣きについては、「パパがあやしても泣きやまないので、
ママに任せるのが一番。パパの役目はママのフォロー」などという意見も。

やがて会話が落ち着くと、いよいよ本番、定例会の議題へと進んでいった。

まずは、いつもは調理師として働いている土井さんから、
「親子で親子丼」という企画提案がなされた。
これは、簡単にできる本格料理をパパに覚えてもらい、
ママの家事負担を軽減しようというもの。

続いて、この時期恒例となっている「パパと一緒にお散歩ツアー」の日程が発表された。
日吉にある慶応大学のキャンパス内で、
散策したり芝生で遊んだりする、3時間程度のミニツアー。

最後は、年末に行われる「どろっぷデー」というイベントについて、
打ち合わせが行われた。
近くにある太尾防災拠点内で、飲食のブースを出店するのが、
毎年の伝統行事となっているらしい。

去年行われた模擬店の内容は、焼き芋、フランクフルト、手打ちソバなど。
これに対し今年は、「体が温まるからオデンがいい」、
「オニギリと豚汁も捨てがたい」などの活発な意見が、次々に出されていた。
 
さて、こうしたパパサークルについて、参加歴1年の土井さんは、
「親子丼の企画など、自分ができることをみんなに共有してもらい、
少しでもママの助けになればうれしい」と話す。

一方、参加歴4年の坂井さんは、
「メンバーから出された企画を、定例イベントとして定着させていきたい」と、
まとめ役を買って出ている模様。

他拠点のパパサークル一例

最後に、港北区以外のパパサークルの状況をまとめておこう。
PTAなどを中心とした学校単位の団体を除き、
各地域子育て支援拠点で組織されているサークルは、2団体あるようだ。

●神奈川区地域子育て支援拠点「かなーちえ」で活動する「かなメンの会」

土曜日を中心に外遊びなどのイベントを開催し、
「かなーちえ」が企画する各種講座にも参加。メンバーは現在15人程度。
 
●港南区地域子育て支援拠点「はっち」で活動する「パパボラ」

パパのボランティアという意味で名付けられたサークル。
遠足や外遊びイベントのほか、今年10月に行われる「はっち祭」では、
パパたちが悪役をやっつけるヒーロー劇を予定している。メンバーは約20人。

ほか、今後パパサークルを結成する予定があるのは、金沢区と都筑区の2拠点。
組織だった活動はないが、パパが参加できる不定期のイベントを随時行っているのが、
残り13区の各拠点といった状況だった。

今回印象的だったのは、参加されていたパパさんが、
一様にステキな顔つきをされていたこと。
こうしたサークル活動を通じて得た、育児への自信やパパ友の輪が、
その表情を内面から輝かせているのだろう。
皆さんも、ぜひ、地域子育て支援拠点の扉をたたいてみてはいかがだろう。
参加の問い合わせなども、各拠点で行っている。

●「どろっぷ」公式サイト http://www.kohoku-drop.com

※本記事は2012年10月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。
------------------------------------------------------------------------------------------------