保育所不足 「もう待てない」

朝日新聞
------------------------------------------------------------------------------------------------
 待機児童数が全国最多の東京で、
認可保育所に子どもを預けられなかった親たちの不満が高まり、
自治体への異議申し立てや施設の充実を求める請願が相次いでいる。
自治体は待機児童対策に力を入れるが、
増加する保育ニーズに追いついていないのが現状だ。

 ◆増設要望

 27日、足立区では母親ら8人が、行政不服審査法に基づき異議を申し立てた。
認可保育所(認可園)の増設や、都が独自の基準で運営費を補助する
認証保育所などの認可外保育所利用者に対する補助の拡充を訴えた。

 4月から看護師に復職する大庭美香さん(29)も
認可園に申し込んだが「不承諾」だった。
長女(3)と次女(11カ月)を別々の認証保育所に預けることに。
月々の負担は認可園に比べ5万円以上増える。「認可園の絶対数が足りない」

 別の母親(29)は次男(1)の入所を認められず、4月の復職を断念した。
復職をしないとして、認可園に預けている長男(3)も
3月末で退所させられることになった。

「早く、安心して預けられるところを見つけたいが、
2人一緒のところが探せるか不安」と訴える。

 ◇緊急対策迫る

 豊島区でも27日、20人以上の親たちが区の保育担当者と面会し、緊急対策を迫った。
「なぜ計画的に整備しないのか」「子どもがいる親は仕事をするなというのか」
などと声を荒らげる親たち。
区は「場所を探して整備を進めるが、追いついていない」
「認可には時間がかかる」と説明したが、
親側は納得せず、話し合いは1時間以上続いた。

 足立区によると、今年4月の認可園への
申込者3784人のうち、1275人が不承諾だった。
定員増は4月に60人、来年4月に358人を見込む。
豊島区も1545人が申し込み、約650人は不承諾となった。
4月から新たに待機児童対策の担当課長を置き、
17年度までにゼロを目指す。

 小金井市では2月末、60件の異議申し立てがあった後、
さらに6件の申し立てがあった。
市議会は、親らが出した待機児童への緊急救済措置を求める陳情を全会一致で採択。
市保育課は、公共施設の会議室などを保育に活用できないか検討を始めたが、
詳しいことは決まっていない。

 今月20日に22件の異議申し立てがあった武蔵野市でも、
市議会に認可園の増設と、緊急措置として保育施設の
大幅な拡充を求める陳情が出され、今後審議される。

 ◆認可園1次審査1.5万人「落選」

 昨年4月の待機児童数は8117人。
2月に就任した舛添要一知事は「任期の4年でゼロにしたい」と言うが、
今年4月は過去最高の申込数となっている自治体もあり、達成への道のりは険しい。

 ◇23区、杉並は1839人

 朝日新聞が調べたところ、23区の認可園の1次審査で、
少なくとも1万5千人が不承諾だった。
自治体別でみると、杉並(1839人)、大田(1766人)など、
千人を超す自治体もあった。
昨年、全国最多の884人だった世田谷区は不承諾者数を集計していないが、
今年4月は2377人の募集枠に過去最多の5363人が申し込んでいる。

 多摩地域も同じ傾向だ。
小金井市では516人、武蔵野市では501人が、1次審査で不承諾となった。

 不承諾だった親は2次審査で認可園をめざすか、
認証保育所などに申し込む人が多い。
最終的にどの施設にも預けられない子どもが待機児童となる。
------------------------------------------------------------------------------------------------