不眠や心身症状、被災地児童の相談増加- 岩手県、精神面のサポート拡充

CB NEWS
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 東日本大震災で被災した児童の心理・精神面をサポートする目的で設置された
岩手県の「子どものこころのケアセンター」を利用する児童が増えている。
2011年6月の開所以降、これまでに延べ約1700人(2013年11月現在)の児童が利用。
拠点施設の開設や巡回診療といった支援体制の拡充に伴い、
13年度の利用児童数は、11年度の3.5倍に増加している。
県は、地元医師会や学校などと連携を図り、
今後も支援活動を続ける方針だ。【新井哉】

 東日本大震災後、夜中に目が覚めたり、恐怖や不安を感じたりするといった
ストレス反応を示す児童が増加。
県は、震災による児童のストレスやトラウマを軽減しようと、
11年6月に宮古、釜石、気仙の3地区に「子どものこころのケアセンター」をそれぞれ設置。
県内外の医師の協力を得て、児童の悩みを聞くなどしてきた。

 しかし、支援活動を続ける中で、
▽中長期的にこころのケアを要する児童が多数いる
▽沿岸部に児童のこころのケアに携わる医師や医療機関が少ない
▽地域ケアセンターへの他県などからの長期的な医師派遣の継続は困難―
といった課題が出てきた。

 そのため、県は昨年5月、児童のこころのケアを中長期的に担う
全県的な拠点施設として、矢巾町に児童精神科クリニック
「いわてこどもケアセンター」を開設。
岩手医科大に運営を委託し、精神科医の養成などにも取り組んでいる。
震災関連のトラウマティックストレスなどを対象に、
認知行動療法やプレイセラピー、カウンセリングといった
専門的な心理療法を実施。また、宮古など
3地区のケアセンターで巡回診療も行っている。

 県による支援体制の拡充に伴い、ケアセンターを利用する児童が増加。
11年度は延べ287人だったが、13年度(13年11月現在)は3.5倍の延べ1013人に増えた。
1人当たりの平均利用回数も13年度は11年度に比べて倍増したという。

 相談内容は、震災や環境の変化による「不安」や「不眠」のほか、
頭痛や吐き気、倦怠感といった「心身症状」などが目立つという。
県は「利用者の年代別では、小学生が一番多く、ほとんどが中学生以下。
心身症状や震災に伴う行動面の課題、不登校などの相談が多い」としている。
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