埼玉県の子供、「ボール投げ」苦手

yomiDr.
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 埼玉県内の子供は「ボール投げ」が苦手――。
体力テストの結果から、小学生を中心に、
ボール投げの平均記録が全国平均を下回っている現状が浮かび上がった。
専門家や教師は、ボール遊びの機会が減っていることや、
サッカーが盛んな土地柄の影響を指摘している。

小6男子は3メートル短く
 県教育局保健体育課によると、
小学生が体力テストで行うソフトボール投げの2012年度の平均値は、
男子は全学年で全国平均を下回る。
特に小6男子の記録は26・32メートルで、全国平均より3・26メートルも短い。
女子も、1年生以外は全国平均に届かなかった。
08年度の記録を見ると、男女とも小1~高3の全学年で全国平均を下回った。
「上体起こし」や「反復横跳び」などは全国平均を上回ることが多いだけに、
ボール投げの成績の悪さが目立つ。

 埼玉大教育学部の有川秀之教授(運動学)は
「腕だけで投げる子が多く、下半身の力がうまく伝わっていない」と指摘する。
現場の教師によると、体をひねらずに投げたり、
右足と右手が同時に前に出る子供もいるという。
有川教授は「サッカー人気が高い他県も、
ボール投げの成績がふるわない傾向がある。
投げるよりも、蹴って遊ぶことが多いのでは」と推測する。

 ボール投げが上達しにくい環境もあるようだ。
塾通いなどで外遊びが減っている上、ボール遊びを禁ずる公園も多い。
「様々な人が利用する公園は、けが防止のため、
球技専用の場所などを除いてボール遊びは基本的に禁止」
(さいたま市都市公園課)という。

 有川教授は「投げる動作は全身運動。
投げることができないと、運動能力のバランスも偏りがちになる」と注意を促す。
県は、ボール投げの記録向上を課題としており、
授業で基本的な投球フォームを教えたり、
筋力を鍛えたりするなど対策も進めている。
その結果、中高生では少しずつ飛距離が伸びてきたという。
練習は楽しく

 工夫を凝らした練習を取り入れ、投げる力を育てている学校もある。
戸田市立戸田東小学校では、段ボールで作ったブロックをボールで倒したり、
校庭のネットに取り付けた的に向かって投げたりと、
楽しみながら取り組めるようにした。

 同小の嶋広志教諭は「強制的にやらせるのでは続かない。
ゲーム感覚で遊びながら練習する方が、上達につながる」と話す。
学校以外にボール投げができる場所がなくても、
家庭内で投球フォームを確認するだけでも効果があるという。
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