心肺停止の子ども 学校対応教本 さいたま市教委、「解説版」新たに作成

東京新聞
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 学校で子どもが意識を失って心肺停止の可能性がある場合、
教職員に一刻も早く心肺蘇生の対応をしてもらうため、
さいたま市教育委員会は、二年前に独自に作成した教職員向けの対応教本に、
医学的なデータなどを盛り込んだ「解説版」を新たに作成した。
市教委の担当者は「教職員の理解を深め、
蘇生の実践力を高めたい」と話している。

 この教本は「ASUKAモデル」と名付けられている。
二〇一一年に同市立日進小学校六年生の桐田明日香さん=当時(11)=が
校庭で駅伝の練習中に倒れ、亡くなった事故を教訓につくられた。

 事故当時は教員が明日香さんの呼吸や脈があると判断。
自動体外式除細動器(AED)の装着をしなかったが、
間もなく心肺停止状態になった。
このため教本では、「普段通りの呼吸」の有無を判断できない場合は
AEDの手配や胸骨圧迫(心臓マッサージ)をただちに行うことなどを明記した。

 解説版には、心停止から蘇生開始までの時間と救命率の変化や、
胸骨圧迫を絶え間なく行うことの重要性を示すグラフなどを添付。
「正常に動いている心臓に胸骨圧迫しても問題ない」などの説明も盛り込み、
「いざというときに教職員が迷いなく行動できる内容にした」(市教委の担当者)という。

 市教委は一月末に全市立学校に解説版を配布。
今後は教職員の研修や、各校で行われる事故対応訓練などで活用される。 
(池田友次郎)
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