虐待里親に委託継続 児童福祉法違反の疑い 2県、登録消さず

47NEWS
------------------------------------------------------------------------------------------------
 何らかの事情で親と暮らせない子どもを養育する里親制度で、
群馬県と滋賀県が、子どもを虐待したと判断した
養育里親に子どもの委託を続けていたことが26日、分かった。
児童福祉法は都道府県などに、虐待した養育里親の登録を取り消すよう定めており、
同法違反の疑いがある。

 厚生労働省は里親委託を進めているが、
一部で制度のずさんな運用が明らかになったことから「経緯を調べたい」としている。

 厚労省の発表を基に共同通信が調べた結果、
2009~12年度に里親による虐待は少なくとも13道県市で19件あったことが判明。
うち委託が続けられていたのは群馬、滋賀両県の各1世帯だった。
2県以外は登録抹消などの措置を取っていた。

 滋賀県は09年度に里親が男児を虐待したと判断したが、
そのまま男児の養育を続けさせている。
群馬県では11年度、里親が子どもをたたくなどし、県が虐待と判断。
この子どもの委託を解除し、別の子どもを委託した。
ともに子どもにけがはなく刑事事件にならなかった。

 この2世帯は里親名簿に登録されたまま。
滋賀県は虐待が判明した別の2世帯の登録も続けているが、
委託継続の有無は公表していない。

 担当者は「ひどい虐待ではなく、児童相談所から指導されたり、
研修に参加したりして里親に改善が見られた」(群馬県)、
「居場所を変えるのは子どもにとってよくないと判断した」(滋賀県)などと、
委託を続けた理由を説明している。

 和泉短大の桜井奈津子教授(児童福祉学)は
「1、2回の暴行なら仕方がないと判断したのであれば言語道断で、
虐待する側と同じ論理だ。
絶対に起きてはならないという考えに立たなければ、虐待は撲滅できない」と指摘する。

 児童福祉法の改正で、里親や施設職員らによる虐待は、
本人や周辺からの通告を受けて都道府県などが調査し、
公表するよう09年度から義務付けられた。
------------------------------------------------------------------------------------------------