障害児の学童保育所「放課後等デイサービス」 株式会社も参入、選択肢拡大

msn産経ニュース
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 障害のある子供の放課後は、通える施設が少なかったり、
普通学級の子供が通う学童保育所になじめなかったりして、
過ごし方に悩む場合が少なくない。
しかし、一昨年の児童福祉法改正で、障害のある就学児童・生徒を対象にした
「放課後等デイサービス」が開始。
民間企業が参入し、さまざまな特徴のある事業所が増えたことから
選択の幅が広がっている。(村島有紀)

 ◆先端技術に触れる

 厚生労働省によると、「放課後等デイサービス」は平成24年4月にスタート。
従来は障害の種類に分かれ、未就学児と就学児が一緒に通う形態だった。

 しかし、法改正で、未就学児のための「児童発達支援」と、
小中高校の就学児童・生徒のための「放課後等デイサービス」に分かれ、
障害の種別に関係なく通えるようになった。

 利用者数は、2年前のサービス開始時に5万1678人だったが、
昨年11月には35%増の6万9789人。
株式会社など民間事業者の参入が進み、
「学習塾型」や「音楽教育」など特色ある事業所も増加している。

 昨年11月にオープンした東京都新宿区の「ケアステップ新宿」は、
3Dプリンター(コンピューターで作った設計図を基に
3次元の物体を作り出す装置)などを使った工作が特徴だ。

 一日の流れは、学校が終わった午後3時頃に入室。
宿題や自由課題を終えた後、工作などをして過ごし、午後4時半におやつタイム。
グループワークなどで午後6時まで過ごす。
経営者の田村宏さんは「今後は植物工場も始める予定。
最先端の技術を身近に感じてほしい」と話す。

 今月オープンした静岡県藤枝市の「クルール」は、体を使った室内遊びを重視した。

 親子で遊べる室内「キドキド」を運営する
教育玩具輸入業「ボーネルンド」(東京都渋谷区)が協力し、
約180平方メートルの室内に、跳びはねながら走ることができる弾力性のあるマット、
隠れ家のようなスペースなどを設置。運営するのは、
元民主党衆院議員の津川祥吾さん(42)が設立したトレミー。

 津川さんは、学生時代の学童保育所でのアルバイト、
自身の4人の子育ての中で、「発達の遅れが気になる子」の居場所が少ないと実感。
「子供が思いきり体を使って遊べる場所が減っている。
集団行動が苦手な子供も楽しく遊べる場所にしたい」

 ◆学童期から就職支援

 障害のある子供たちの学習塾からスタートしたのが、
東京都新宿区と大田区、川崎市にある「テラコヤキッズ」。
運営するディーアイ(港区)は障害者雇用コンサルティング事業や
障害者の就職のための訓練事業を行う会社だ。

 障害者の就労が難しい背景には自己肯定感が低かったり、
ビジネススキルがなかったりすることもあるため、教育事業に参入。
障害者向けのビジネススクールのほか、
小学生から高校生に向けた個別指導型の学習塾を手掛ける。
一昨年4月からは放課後等デイサービス事業も開始した。

 テラコヤキッズでは将来の就職を視野に、
障害者雇用に熱心なメーカーや小売業などの見学会も行う。
同社は「障害があるから就職できないわけではなく、
早い段階で働くイメージを持つことで子供の可能性を
最大限広げていきたい」と話している。



【用語解説】放課後等デイサービス
 発達障害を含めた障害のある児童・生徒(主に6~18歳)が
生活能力などの向上のため、放課後や長期休暇中に通い、受けるサービス。
1カ月に通う日数は保護者などと相談し、区市町村が決める。
療育手帳や身体障害者手帳を必ずしも必要としないため、
学習障害などの児童も利用しやすい。
利用料は、所得によって上限が変わるが、
自己負担は原則1割。残りの費用は国が2分の1、
都道府県と区市町村が各4分の1を負担する。
独自の負担軽減を行う自治体もある。
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