【中国地方】増える「土曜日授業」

朝日新聞
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 小中学校の土曜日授業が中国地方でも広がっています。
授業時間を増やして学力向上につなげたい岡山県と、
授業参観などに保護者らが参加しやすいため、
「開かれた学校づくり」の一環として取り組む広島県東広島市。
それぞれの土曜日授業の様子を取材しました。

 ◇岡山 小中学校の7割実施へ

 昨年度の全国学力調査で小学校が38位、中学校が32位の岡山県では、
授業時間を増やし、学力向上などを図るため、土曜日授業を推進している。
今年度、小中学校の約7割にあたる409校が実施予定。
県教委の担当者は「中国地方で一番多いのでは」と胸を張る。

 4月26日土曜の午前8時過ぎ、岡山市立桑田中学校(全校741人)に
生徒や保護者らが次々と集まってきた。
各学期に1日設けられた土曜日授業の日だ。

 ある3年生の学級の3時間目は美術。
保護者らの前で、生徒28人はアルファベットが立体的に見えるよう描く「斜投影図」を学んだ。
コツをつかめずにいた生徒から次々と質問の手が挙がり、
担当する川阪理智(り・さと)教諭(35)が机を回る。
次男の授業を参観した主婦の三宅恭子さん(42)は
「しっかりと勉強をしてほしいので、土曜日授業はうれしい」と話す。

 岡山市では昨年度から市内の全小中学校で土曜日授業を導入。
桑田中学校も昨年度に計3日、土曜日授業をした。
昨年9月には「土曜日授業」として体育大会も開催した。
狙いについて、山本芳史校長は「土曜に行事を充てることで、
平日に学力向上などに充てる時間が生まれる」と話す。

 国は昨年11月、土曜日授業を促すため、学校教育法施行規則を一部改正した。
今年度に土曜日授業をする予定の岡山県の学校は、
昨年度に比べて小学校で約1・7倍の288校、
中学校で約1・5倍の121校に増える。計11日も実施する予定の学校もある。

 県教委によると、土曜日授業をしない市町村でも、
夏休みなどの長期休業を1~6日短縮して授業時間を増やす。
県内27市町村のうち25市町村が、
土曜日授業や長期休みの短縮を採用する予定だ。

 土曜日授業を受けた桑田中3年の中村あずささん(14)は
「土曜日に友達と会えるのはうれしい。
でも、部活の最後の大会前なので、もっと練習もしたい」と話した。(山下周平)

 ◇広島 保護者らの参観日にも

 広島県東広島市では昨年度、全小中学校で2回の土曜日授業を始め、
今年度は3回に増やす予定だ。
同市教委は「学力の定着と開かれた学校づくりを進める」と狙いを説明する。

 市立向陽中学校では10日、最初の土曜日授業があり、
国語や数学、理科などの授業を公開した。

 平日に授業参観を設定しても、足を運ぶ保護者らは
1クラス10人にも満たないことが多い。
だが、土曜日に授業を公開すると、20人ほどに増えるという。

 2年1組では数学の授業を公開。
ドリルによる学習では、父親や高校生の姉らが机のすぐそばに立ち、
見守ったり教えたりした。芥川佳子教諭は
「土曜は父親にも来てもらいやすい。
『途中の式を書いているか』など私がアドバイスする姿も見てもらい、
家庭の学習に生かしてほしい」と話す。

 授業を見た後は部活動も見学した。
高橋憲司校長によると、保護者から
部活動も見たいという要望があったという。

 授業参観をした会社員の下谷竜之さん(46)は
「平日に有給をとってまで授業参観に参加できない。いい試みだ」。
娘がテニス部に所属する幼稚園教諭の松本信吾さん(45)は
「授業はなんとなく想像がつくが、
子どもが部活に精力的な姿を見たいと思って来た」と
娘が練習する姿に目を細めていた。

 広島県内では、広島市も今年度から4小中学校で
土曜日授業を3~4日試行する。
授業参観や福祉施設の訪問などをする予定だ。(大隈崇)
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