【埼玉】公立保育所 廃止の動き相次ぐ

東京新聞
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 鶴ケ島市は市立三保育所のうち、築四十年で耐震強度が不足している
鶴ケ島東部保育所を段階的に閉鎖する方針を決めた。
ふじみ野市も同じ理由で市立九保育所のうち
二カ所を来年三月に廃止する方針を決めた。
両市とも来年度に新設される民間の認可保育所で
保育需要は吸収できると説明しているが、
鶴ケ島市では二月の通知から四カ月以上も説明会が開かれないことなどから保護者が反発。
会を結成して反対運動を始めることを決めた。 (中里宏)

 両市によると、鶴ケ島東部保育所(定員百二十人)は一九七四年開設。
ふじみ野市の西保育所(同九十人)と亀居保育所(同)は一九七三年開設で、
いずれも両市が行った耐震診断で耐震強度の不足が分かった。

 両市とも建て替えを行わない理由について
「公立保育所建設には国・県の補助金は出ないが、
民間の認可保育所は三分の二の補助金を受けられ、
定員百二十人で年約七千万円の運営費補助もある。財政的な問題」としている。

 鶴ケ島東部保育所は段階的に募集を縮小し、二〇二〇年三月に閉鎖の方針。
今年二月、保護者に文書で通知した。
しかし、その後も説明会は開催されず、保護者から不安や反発の声が上がっていた。
今月二十一日に行われた保護者の意見交換会で
「鶴ケ島の保育をよくする会(仮称)」の結成が決まり、
今後、反対署名などを行っていくことに決めた。
ふじみ野市は「これから保護者説明会を行う予定」としている。

 鶴ケ島東部保育所の保護者の一人は
「保護者の意向を聞かず、決定として通知してくるのは
順序が違うと思う」と話している。

 保育問題に詳しい明星大の垣内国光教授は
「公立保育所は保育のスタンダードとして
地域の保育水準を維持する存在意義が大きい。
障害児保育を担う役割も持っている」と話す。
両市の廃止方針については「二〇〇〇年以降、
公立保育所の統廃合や民営化は全国的に進んでいるが、
行政が一方的に通知したケースでは訴訟に発展した例もある。
いまだに決定事項として通知する自治体があるとは驚きだ」としている。
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