園児の言葉集めて30年 徳島市の幼稚園が冊子化

徳島新聞
------------------------------------------------------------------------------------------------
 「どうしてお月様はついてくるの? お散歩したいんだね」
「カーテンが風と遊んどるなあ」。
子どもの感性が光る言葉の数々を集めた冊子
「ことばの花束-わかくさっ子のつぶやき」を徳島市の
わかくさ幼稚園が30年間発行し続けている。
毎年、園児全員に贈っており、今年で30集となった。
30年前も今も手書きの良さを伝えるため
担任教諭がペンを握ってまとめる心温まる一冊だ。
 
 子どもの言葉に耳を傾け、その内面を見詰めようと、1984年から始めた試み。
日常生活の中で園児が発した言葉を、その都度保護者や教諭が書きとどめ、
12月ごろまでにまとめる。30年間で延べ5千人以上の園児の言葉を収めた。

 今年3月に完成した第30集(B5判、321ページ)には、
園児約150人全員の言葉を収録。
(ミニトマトにピックを刺したら)「トマトさんは注射しても泣かないね!」、
(車に落とされた鳥のフンを見て)「こらー鳥さん! おトイレでしないとダメでしょ」など、
思わず頬が緩む一言を、その時の状況付きで紹介している。

 (言い訳をする友達に)「ほなけどほなけど言うたらあかん。
人の話が聞けなくなるけん」などと、大人がどきりとしてしまいそうな言葉もある。

 冊子は好評で長女の早貴(さき)ちゃん(5)を通わせている
会社員、平岡由美さん(39)=徳島市西新浜町1=は
「娘の言葉を一つ一つ大切に聞くようになった。
紹介された他の友達の言葉を絵本代わりに一緒に読むこともあり、
コミュニケーションにも役立っています」と話した。

 30年前の園児も親となり、2代で誌面に登場する親子もいる。
大人になっても大切にする卒園生も多い。

 30年前、他県の幼稚園を参考に「ことばの花束」を考案した
岡本羊五理事長(83)は「少ない語彙(ごい)で
一生懸命話す子どもの言葉を周囲の大人がしっかり受け止めることで、
感性はより豊かになり表現力も向上する。
成長の足跡を残すという意味でも、冊子が一役買っていると思う」と話した。

【写真説明】園児の言葉を集めた「ことばの花束-わかくさっ子のつぶやき」。
今年で30冊になった=徳島市のわかくさ幼稚園
------------------------------------------------------------------------------------------------