児童に自転車免許 効果

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 ◇広島市 授業で安全意識向上

 広島市が市立小学校の児童を対象に独自の
自転車運転免許を発行する取り組みに力を入れている。
取得を契機に交通安全の意識や運転マナーを向上させ、事故防止につなげるのが狙い。
免許には法的な効力はないが、学校現場からは「安全意識が高まった」と好評を得ており、
今年度からは新たに市立中学・高校で自転車通学の際の
必須条件とするように制度の定着を目指す。(家城健太)

 市によると、2013年に市内で発生した交通事故は5903件。
うち自転車が絡む事故は1279件と21・7%を占める。
過去10年においても交通事故の2割以上が自転車事故。

 市は「子どもの頃から安全運転の知識と運転マナーを身につけてもらおう」と
昨年9月に自転車免許制度を導入。
全ての市立小学校143校の3年約1万600人が対象で、
自転車の交通ルールを学ぶ授業と筆記テストを受講した児童に
「自転車運転免許証」を交付する取り組みを始めた。

 授業では、交通標識の意味や自転車に乗る際の注意点などについて
約1時間の講義があり、テストは○×式で10問。
合格点などは定めていないが、各学校の判断で再試験などし、
全児童に免許証を交付するようにしている。
裏側には「再講習日」の欄があり、
4年生になった際に再テストを受けて知識の定着を図る。

 昨年12月、市は免許を交付した全校にアンケートしたところ、
回答した学校の約9割が「効果があった」とした。
自由記述欄では、「(免許証をもらえることで)安全講習での児童の学習姿勢も前向きになった」「交通安全に対する意識が高まった」などの反応が目立ったという。

広島市が発行する自転車の運転免許証や講習で使用するテキストなど(広島市役所で)

 市は、今年度からは自転車通学の機会が増える
市立中学、高校にも対象を広げ、新1年生に「自転車通学許可証」の交付を開始。
講習では県警の協力も得て学年に合わせた選択式のテスト(10問)をする。
今後は自転車通学者全員に取得させるようにするなど、取り組みを強化したい考えだ。

 市自転車都市づくり推進課の担当者は
「学校の意見を聞き、課題があれば改善しながら
制度の定着を目指したい」と話している。

 <メモ>自転車の利用者を対象にした運転免許の発行は、
東京都荒川区が「自転車運転免許証」と銘打ち、
2002年7月に導入したのが先駆け。
愛知県豊橋市では今年度から高校生を対象に、
自動車教習所のコースを活用した実技試験などを始めた。
松山市は、免許を提示すると市営のプールなどを無料に。
東京都武蔵野市では自転車本体に適用されるTSマーク付帯保険に加入する際に
一部を助成するなど、特典を用意する自治体もある。
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