栃木県内児童虐待死亡3事件 市町、児相の「安全確認」課題 県審議会が検証報告

下野新聞SOON
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 芳賀町で生後4カ月の男児が父親から暴行を受け
「乳幼児揺さぶられ症候群」で死亡した事件など、
2012年度に県内で発生した児童虐待死亡事件3件について、
県は25日、有識者による県子ども・子育て審議会児童処遇部会がまとめた
検証報告書を公表した。
いずれも、事前に児童相談所(児相)が関係機関や
家族から通告や相談を受けており、子どもの安全確認の徹底や、
虐待の危険性の評価を課題として指摘した。
報告書の提言を受け、県こども政策課は、
職員の研修や児童虐待防止マニュアルの改定などで改善を図る考え。

 検証の対象となったのは、芳賀町の事件(12年6月発生、13年12月に父親逮捕)のほか、
12年11月に栃木市で女児=当時(2)=が母親から首を絞められて窒息死した事件、
13年2月に小山市で女子中学生=当時(14)=が
母親に包丁で刺されて死亡した事件の3件。

 芳賀町の事件では、町が事前に男児のあざに気づいたり、
父親のドメスティック・バイオレンス(DV)も把握していたりしたとして
「十分なリスク・アセスメントを行い、協議するべきだった」と指摘。
児相は町から通告を受けたが、速やかに目視による安全確認を行わなかったとして
「責任を持って確認するべきだった」などと指摘した。

 栃木市の事件では発生の約2週間前、
児相が母親から「子どもを預けたい。統合失調症と診断された」との電話相談を受けていた。
児相からの依頼で家庭訪問した市も、同様の訴えを聞いたが、
いずれも母親の要望に応える支援は行わなかった。
「保護者の精神疾患などの特徴を踏まえた対応が求められる」として、
職員の研修を行うことなどを県に求めた。

 小山市の事件では、発生の前日に中学校が家庭訪問したが、
子どもに会えず、警察と児相に相談。
児相は家庭訪問に向かったが、途中で別居していた父親が
学校に来たと連絡が入り、学校へ行って父親にその後の対応を委ねた。
「児相として当初の方針通り家庭訪問し、
警察に援助依頼をするなど積極的な対応をするべきだった」などと指摘した。
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