保育士に「叩かれたあざ」とクレーム 洗剤で簡単に落ち…

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 待機児童問題の解決に不可欠な保育士が、いま不足傾向にある。
原因のひとつは、保護者との人間関係にあるようだ。

 朝の登園時間、子どもたちを迎えていた若い保育士が、
慌てた様子で40代の主任保育士Aさんのもとに駆け付けた。
ある母親が、子どもの太ももの黒ずみを見せながら、声を荒らげてこう詰め寄ったのだ。

「昨日お風呂で気づいたけど、保育士さんに叩かれてできたあざじゃないですか」

 だが、その子の黒ずみを見て、ピンときたAさんは、
職員に「赤ちゃんの肌に使っても大丈夫なクレンジング用品を買ってきて」と、
薬局に走ってもらった。母親の目の前で拭き取ると、黒ずみはするりと消えた。
原因は、家で紙おむつに名前を書くときに使用した水性ペン。
汗やおしっこでインクが移ったというわけだ。
母親は気まずそうな表情で、謝りもせず去っていった。

「お母さんの前で証明できたので納得してもらえたが、
もしうまく黒ずみを落とせなかったらどうなったことでしょう」

 Aさんは、保育士歴20年以上のベテラン。
だが近頃、保護者対応に悩む場面が多くなった。
例えば、延長保育では基本的に食べ物を出さなくていいのだが、
おなかを空かせてぐずる子どもにはお菓子をあげることもある。
それをおにぎりか果物にしてほしいと言ってくる母親がいた。
もしそうなると食中毒の心配もあるので、
調理に携わる職員の勤務体制から見直さなくてはいけなくなる。
だが、いくら説明しても理解してもらえない。

「一人っ子だったり、きょうだいが少なかったりで育児に神経質になるのでしょうが、
以前に比べ保育士への信頼感がない親が増えてきたと感じます」(Aさん)

 特に最近では、育児に関する情報をインターネットやSNSで仕入れるようになり、
保育士よりも知識があると思い込む親も増えているという。
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