「背の高い子と並べるなんて…」保育士へのすごいクレーム

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 各自治体が待機児童解消に取り組むなか、保育士の不足が深刻だ。
厚生労働省は、2017年度末に保育士が約7万4千人も不足すると試算する。

 同省によると、保育士の資格を持っている人は全国で約100万人。
しかし、そのうち、実際に保育士として働いているのは半数以下の約40万人にすぎない。
大学や専門学校で保育士の資格を取得する人は、年に約4万人いるが、
保育園に就職するのはその半数のわずか2万人ほど。
その一方で約3万2千人も辞めている。

 3年前の調査では、保育園を辞めた理由として、
「雇用条件に不満」(16.9%)、「本業以外の業務負荷」(15%)といった
給与や仕事の負担の問題よりも、
職場での保護者対応や保育士同士の「人間関係」(26.5%)を
挙げた人が上回り、最多だった。

 幼稚園教諭の経験もある女性保育士Bさん(28)は、
幼稚園と比べても保育園のほうがストレスが大きいと話す。

「保育園は必ず毎日、保護者がバラバラの時間に送迎をするので、
1対1で顔を合わせることが多い。
預かる子どもたちがまだ小さいため、保護者も細かく保育士に要求してくる。
密な関係になるのはいいけど、関わり方には悩みます」

 富山市では、保護者から市内の保育園に寄せられた意見や要望をまとめ、
対応策を記した約50ページの事例集をつくり、保育園に配布している。
他の自治体からも多くの問い合わせがあるという。
紹介された保護者の声は例えば、こんな具合だ。

「スナップ写真で、ウチの子は背が低いのに
背の高い子と並べて撮るなんて配慮に欠ける」
「遠足で持たせたブランド品の水筒に、保育士が名前を書いたので、
ネットオークションに出品できない。弁償してほしい」
「担任保育士から子どもが『ブサイク』と言われた」
(保育士は否定したが、「ウチの子が嘘をつくはずがない」
とエスカレートし、辞職を求められた)

 富山市の担当者は「保護者の熱心さの表れであることはわかる」としながらも、
「理解してもらえるような丁寧な説明も大事だが、
若い保育士が保護者対応で自信を失わないか、とても心配している」と話す。
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