待機児童の定義統一 育休延長も対象

東京新聞
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 厚生労働省は二十九日、認可保育所への入所を希望しても入れない待機児童について、
曖昧だった定義を見直す方針を固めた。
やむを得ず親が育児休業を延長しているケースなどを一律で対象に含め、
全体像を把握しやすくするのが狙い。
来年四月から始まる子育て支援新制度に合わせて導入する。
厚労省によると、二〇一三年四月一日時点の待機児童数は
全国に二万二千七百四十一人だが、新たな定義では、大幅に増える可能性がある。

 同省は待機児童の定義について自治体に通知しているが
▽入所できずに親が育児休業を延長
▽親が求職中-などのケースを含めるかどうかは自治体に判断を委ねているため、
ばらつきがある。その結果、「待機児童ゼロ」を宣言する自治体に対し、
実態が反映されていないとの指摘も出ていた。

 全国の二十政令指定都市が公表した今年四月一日時点の待機児童数は二千七百八十六人。
しかし共同通信が自治体に取材したところ
これらのケースに該当する潜在的な待機児童が
少なくとも一万八千九百七十五人に上ることが分かった。

 子育て支援新制度では、認可保育所などを利用できる要件を緩和。
利用を希望する親は、市区町村から「保育の必要がある」との認定を受け、
希望する施設へ申し込む仕組みになる。

 新制度では待機児童を「認定を受けて入所を申し込んだが
利用していない児童」と定義し、対象施設に認可保育所のほか、
認定こども園や小規模保育なども加える。親が求職中や、育休を延長した場合も含める。

 ただ、自治体から「待機児童数が急増する」などの反発も予想されることから、
複数の数字を公表する方向でも調整する。
◆ゼロ→2000人超に? 横浜市困惑

 多くの自治体が「待機児童の解消」を掲げており、
児童数の増加を不安視する一方、
「数え方が全国一律で分かりやすくなる」とする意見も出た。

 横浜市は昨年四月に「待機児童ゼロ」を達成したとして、華々しく発表した。
今年四月の待機児童は二十人。
だが保育所に空きがなく、親がやむを得ず
育児休業を延長したケースなどはカウントしていない。
こうした潜在的な待機児童数は二千人を超すとみられている。

 担当者は「人口が多いので、待機児童の数が一気に増える可能性がある。
親一人一人の意思を確認するだけで、大変な手間がかかりそうだ」と懸念する。

 名古屋市は今年四月、悲願とする待機児童ゼロを達成したが、
育休延長は数に加えていない。
担当者は「国の基準に従ってやっていく」と淡々と話した。

 五百七十人の待機児童を抱える仙台市は育休延長も含めて計算。
担当者は待機児童ゼロを達成した自治体が相次いだことについて
「実態を反映しているのか。誤解を与えかねないと思っていた」と明かした。
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