県負担で27年度以降継続 子育て相談、母乳検査 放射線不安解消に全力

福島民報
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 県は、東京電力福島第一原発事故発生後に取り組んでいる育児支援策のうち、
平成26年度で国からの財源が枯渇する子育て電話相談、
母乳の放射性物質検査への全額補助など3事業を27年度以降、継続する方針を固めた。
県内で子育てしている母親の放射線への不安解消に引き続き努める。
自主財源での費用負担を検討する一方、国に予算確保を求めていく。
 子育て電話相談の「ふくしまの赤ちゃん電話健康相談」は24年度に始まり、
県助産師会に委託して事業を実施している。
「子どもの外遊びで放射線の影響を心配する必要はあるか」
「県産食材は安全か」など幅広い質問に助産師が答えている。
電話相談は県外の避難者も利用でき、
助産師が希望する母親宅を訪問し育児指導している。
 初年度は1044件、25年度は877件、26年度は6月末までに270件の利用があり、
「子育ての不安に応える事業として定着している」(県児童家庭課)として、
27年度以降も続ける。
 母乳の放射性物質検査への全額補助は、
原発事故を受け自らの健康に不安を訴え、
子どもへの影響を心配する母親の悩みに応えるため24年度に開始された。
初年度は559件、25年度は59件の利用があったが、
26年度は27日現在で2件にとどまっている。
しかし、県は原発事故で被災した県民を手厚く支援すべきだと判断し、事業を継続する。
 福島第一原発の事故収束作業では、
がれき撤去作業に伴う放射性物質の飛散などトラブルが絶えない。
県内で生活する上での安心を確保するためには、
現在の相談、補助の体制を維持すべきだとしている。
 電話相談、母乳検査への全額補助と同じ財源で実施してきた
ゼロ歳児対象の聴覚検査への全額補助も続けていく考えだ。
 県と国は、これら子育て支援の3事業について、
国費を使い24年度から3年間実施することで合意。
県は国から交付を受けた7億円を県民健康管理基金に積み立てて毎年度、
3事業に拠出してきた。26年度で全額をほぼ使い切る見通しとなったため、
対応を検討していた。
 県は26年度、電話相談と母乳検査補助に3千万円、
聴覚検査補助に1億円の計1億3千万円を計上した。
今後も同程度の予算が必要になるとみており、
27年度予算で関連費用を確保するよう国に働き掛ける。
 県産婦人科医会長の幡研一明治病院長(福島市)は
「電話相談や母乳検査の補助は、
放射線への不安を抱く母親がいる限り続けるべきだ」と訴えている。
 県は3事業のほか、27年度以降も、
18歳以下対象の医療費無料化措置と給食の放射性物質検査を継続する方針。
   ◇  ◇
 母乳の放射性物質検査は、希望者が県に電話で申し込む。
送付された容器に母乳を入れ、東京都の検査機関に送付する。
結果は1カ月程度で通知される。
これまで計620件を検査したが、放射性物質が検出されたケースはない。
聴覚検査は産婦人科などで受診できる。
先天性難聴を発見でき、補聴器などを使い言葉の発達の遅れを防げる。
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