【山梨】子育て支援住宅 整備進む

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 少子化対策や定住促進策として、自治体が子育て家庭が生活しやすいよう整備する
「子育て支援住宅」の入居や建築が県内で始まっている。
南部町では3月から入居が始まり、入居者からは
「安心して子育てができる」と好評で、地域も歓迎。
今月には北杜市でも、子育てに配慮した市営住宅が着工した。

 廃校になった中学校の跡地に南部町が整備した
町営住宅「グリーンハイツ富士見」(南部町万沢)。
入居条件は中学生以下の子どもがいる家庭か、
夫婦のどちらかが40歳未満であること。
家賃は月3万円だが、高校生以下の子ども1人につき5000円を割引き、
最大1万5000円(3人分)が割引される。3DKの全10戸はすでに満室だ。

 会社員の佐野博典さん(29)は4月、
妻の真理奈さん(27)、長女の莉央奈ちゃん(1)と
静岡県富士宮市から引っ越してきた。
家賃が安く、自然豊かな土地柄にひかれたという。

 部屋の間に段差がなく、歩き始めたばかりの莉央奈ちゃんでも転びにくい。
台所から全ての部屋が見渡せるので子どもがどこにいるかすぐに分かるのも安心という。
真理奈さんは「子育て家庭が集まっているので、
お母さんたちとママ友になりやすい。
防音設備もしっかりしていて、子どもの声を
近所に気兼ねしなくていいのも助かります」と話す。

 南部町の人口は7月1日現在、8628人。
合併当初の2003年3月に比べ、2043人減った。
人口流出は深刻で、町は家賃を安価にすることで貯蓄に回してもらい、
将来的には町内に家を持ち、定住してもらいたい考えだ。
佐野さんは「お祭りなど地域とのつながりもあって子どもをのびのび育てられる。
ゆくゆくは町内に家を建てたい」という。

 町営住宅のすぐ隣にある万沢小学校では、
2013、14年度の新入生が3人、2人だったが、
15年度は6人、16年度は7人と町営住宅の整備によって増える予定。
久保田尊文校長は「高齢者が多く、町の将来はどうなるかという危機感があった。
若い人が入ってきて良かった」と話す。

 一方、今月10日には北杜市須玉町若神子の旧須玉総合支所跡地で、
子育て支援住宅の起工式が行われた。
市住宅課によると、同所には18戸を建設予定で、
広場も2か所整備し、どの家からも広場で遊んでいる子どもが
見えるように間取りを工夫している。

 市内では2017年度までに、武川地区(15~18戸を予定)、
大泉地区(18戸を予定)に同様の住宅を整備する計画。
いずれも小中学校などが周囲に多く、子育てしやすい環境という。
同市の人口は4万8768人(7月1日現在)と、合併直後の06年4月に比べ、
1300人減少しているため、支援住宅の整備を進めているという。

 県子育て支援課によると、一般的に子どもがいることを条件に
家賃を安くする公営住宅はあるが、南部町や北杜市のような例は珍しいという。
同課は「少子化対策として有効だと思う。この流れが広がれば」と期待している。
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