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政府が成長戦略の中心に位置づける「女性の活躍」だが、
自治体が導入する場合、国が委託料の3分の1(671万円が上限)を補助する。
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政府が成長戦略の中心に位置づける「女性の活躍」だが、
働くママたちにとって仕事と育児の両立の壁となるのが子供の急な病気や発熱だ。
共働きの核家族で子育てするケースが増え、
「病児保育」のニーズが高まるなか、大阪市が9月、
政令指定市で初めて事業者が保育スタッフを病児の自宅に派遣してケアする
「訪問型病児保育」に一部の区で乗り出す。
ただ同様のサービスは同市淀川区では公募区長の独自施策として導入しており、
市の制度と料金や使い勝手などを競う。
果たして働くママはどちらを選ぶのだろうか-。(石川有紀)
訪問型導入の背景
「病気の子供を預かってほしいというニーズは高い。
訪問型導入の背景
「病気の子供を預かってほしいというニーズは高い。
誰でも必要なときに使える制度にしたい」
訪問型病児保育の事業を進める大阪市子育て支援部の
訪問型病児保育の事業を進める大阪市子育て支援部の
三谷真彦管理課長は、こう説明する。
訪問型は、市が委託した事業者が保育スタッフを
訪問型は、市が委託した事業者が保育スタッフを
病児の自宅に派遣してケアするサービス。
7月の説明会にはベビーシッター会社など7事業者が参加したが、
実際に応募したのは1医療法人のみ。市はこの医療法人を事業者に選定し、
9月にまず市内3区以上で事業をスタートする。
応募がふるわなかった理由は分析中というが、
「病児保育は利益を出すのが難しい」(市担当者)ことが考えられるという。
現在、多くの保育所は乳幼児に37・5度以上の発熱がある場合、
現在、多くの保育所は乳幼児に37・5度以上の発熱がある場合、
熱性けいれんや病状の急変の恐れがあるため保育を断るか、
保育中であっても保護者に引き取りを要請する。
度重なれば子供の病気で仕事を休みがちになり、仕事を続けられなくなる。
こうした病児の受け入れ先としては、まず病院や保育所に併設された
こうした病児の受け入れ先としては、まず病院や保育所に併設された
「施設型病児保育」がある。
多くの自治体に設置され、大阪市でも年間で延べ1万人が利用。
市によると、「近くに施設を」との要望は絶えずあり、
年延べ2万人のニーズがあるとみている。
ところが、施設型には看護師と保育士を1人ずつ常駐させるのが条件。
ところが、施設型には看護師と保育士を1人ずつ常駐させるのが条件。
子供の病気は突発的なため受け入れ人数の変動が激しく、
キャンセル率も高いなど運営は難しい。
このため増設も進まないのが、市が訪問型導入に踏み切った背景にある。
訪問型もハードル
そもそも訪問型は平成23年4月、保育事業を所管する厚生労働省の
訪問型もハードル
そもそも訪問型は平成23年4月、保育事業を所管する厚生労働省の
「病児・病後児保育実施要綱」に登場し、
国の補助が受けられるようになったサービスだ。
自治体が導入する場合、国が委託料の3分の1(671万円が上限)を補助する。
ただ、こちらも保育スタッフは看護師か保育士資格、
または研修を受けた「保育ママ」などの有資格者に限定している。
利用頻度が一定ではない病児保育で、人材を常駐させるコストに加え、
現場では保育士不足が深刻化しているため
有資格者の確保は事業者にとって高いハードルだ。
もう一つのハードルは利用料金だ。
もう一つのハードルは利用料金だ。
大阪市がスタートする訪問型の1日(午前8時~午後5時)の料金は7800円。
確かに大手ベビーシッター会社の1万5千~3万円と比べると低価格だ。
ただ、施設型の2100円を考慮すると、
訪問型を利用できる経済的余裕のある利用者は限定的だ。
三谷課長は「ひとり親世帯や低所得層は約半額の4千円程度に抑え、
三谷課長は「ひとり親世帯や低所得層は約半額の4千円程度に抑え、
事業者には市が補填(ほてん)していく。
民間ベビーシッターに手が出なかった人たちにも利用してもらいたい」と力を込める。
淀川区は独自路線
一方、同じ大阪市内でも淀川区では
淀川区は独自路線
一方、同じ大阪市内でも淀川区では
「病児保育施設が近所にない」「定員があり、利用できなかった」との声が上がり、
公募区長が23年度に独自施策として訪問型を導入した。
ただ、1年目は利用者に所得制限を設けたことや、
利用者に区と事業者の両方に登録することを求めるなど
「共働きの中間所得層が使えない状態だった」(区担当者)ため、
利用者は5人にとどまった。
このため、24年度に利用者と区が1回分の料金を含む
このため、24年度に利用者と区が1回分の料金を含む
月会費を負担し合う「共済型」に転換。
利用者は1カ月で3240円を払えば、月に1回の利用ができる仕組みにした。
2回目以降は、1時間1080円の利用料がかかるため、
市の方式とは異なり、利用頻度によって負担額は変わってきそうだ。
今年4月からは市内全域で病児保育を手掛ける
今年4月からは市内全域で病児保育を手掛ける
NPO法人「ノーベル」(大阪市中央区)に委託し、登録会員は現在約50人。
保育スタッフは看護師や保育士のほか、子育て経験のある主婦ら30人を確保し、
当日午前8時までの依頼に100%対応している。
ノーベルの高(こう)亜希代表理事は
ノーベルの高(こう)亜希代表理事は
「行政と協力しあうことでひとり親世帯や低所得層にも利用を広げられた」と語る。
ノーベルは、市の制度では月会費制に対する補助がないため
ノーベルは、市の制度では月会費制に対する補助がないため
応募を見送ったというが、「訪問型だけでなく施設型も含めたネットワークをつくり、
大阪市全体で利用しやすい環境にしていけば、
子供を産んでも働き続けることをサポートできる」と指摘している。
ただ、本来であれば、市と区で別々のサービスを提供することはないが、
ただ、本来であれば、市と区で別々のサービスを提供することはないが、
訪問型をめぐっては公募区長制度で認められた独自施策が先行している。
こうした事態に、大阪市の橋下徹市長は5月の市議会で
こうした事態に、大阪市の橋下徹市長は5月の市議会で
「市の事業と、淀川区モデルと併せて特徴ある施策として進めていきたい」と答弁、
淀川区では市民の選択肢として両方を進める姿勢を示している。
さらに淀川区には市内の複数の区から導入を見据えて
さらに淀川区には市内の複数の区から導入を見据えて
視察希望が寄せられているという。
つまり、市のサービスよりも利用者のニーズに合っていると判断されれば、
淀川区の制度が市内で普及する可能性もあるのだ。
市のモデル事業が共働きの子育て世代に必要なサービスを提供できるかが問われるが、
いずれにしても働くママたちの声が市と区の「ガチンコ勝負」の行方を左右しそうだ。
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