保育所:企業内の設置増える イオンも開設へ

毎日新聞
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 企業が自社施設に保育所を設置するケースが増えている。
保育所の空きを待つ待機児童は全国で2万人以上に及び、
子どもを保育所に預けられず育児休暇後も復職できない人が多い。
働き手の減少で女性の起用が課題となる中、子育て中の社員を支援し、
優秀な人材の確保につなげる考えだ。

 イオンは来春までに、首都圏のショッピングセンター(SC)で、
自社で運営する最初の保育所を開設する。
実際の業務は民間事業者に委託する。イオンは国内で総合スーパー約540店舗、
SC約250カ所を展開し、約40カ所にはテナントとして保育所が入居している。
しかし、イオンの従業員が利用できるとは限らないうえ、
休みがあったり、夕方までしか預からなかったりする所も多い。

 土日や深夜勤務が多い従業員には不便なため、
自社運営の保育所を備え、年中無休で午後10時まで預かることを想定。
自社の従業員を優先して受け入れるが、外部にも開放して集客につなげる。
今後、民間保育所の誘致も含め、
商業施設を新規に開発する場合や大規模改修の際には原則、保育所を設ける。
2018年春までに、SCを展開していない
福井県を除く46都道府県に1カ所以上ずつ設置する方針だ。
既に入居している保育所には、利用時間の延長を要請する。

 コンビニエンスストアのローソンは今年7月、
東京都品川区の本社に保育所を開設。
利用料として月5万円必要だが、10万円程度することもある
認可外保育所に比べれば割安だ。
三菱重工業は1月、横浜市内の自社ビルに、
同社2カ所目の従業員向けの保育所を設けた。

 従業員向け以外に、自社の施設を利用して保育所を開設し、
新たな収益源にするケースもある。
JR東日本は、自社やグループ会社が保有するビルや土地68カ所に保育所を開設。
「駅チカ」の場所が多く、「通勤の途中に預けられる。
“子育てしやすい沿線”を実現したい」という。
学童保育施設なども含め、今後数年で100カ所に増やす。
第一生命は全国の自社ビル10カ所に、三菱地所は、
東京・丸の内地区の自社ビル2カ所に誘致した。

 全国の待機児童数は減少傾向にあるものの、
13年4月時点で2万2741人に及ぶ。
企業や病院内の事業所内保育施設は、従業員以外の子どもの受け入れも可能にした
09年の規制緩和などで増加。
13年3月末に4349施設と、10年間で約25%増えた。【神崎修一、高橋直純、山口知】
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