不明児童問題 「国が情報一元管理を」神奈川県の検証委、報告書で提言

msn産経ニュース
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 厚木市のアパート一室で5月、斎藤理玖(りく)ちゃん=当時(5)=が
死後7年以上たった白骨遺体で見つかった事件で、
行政の対応を検証する県の「児童虐待による死亡事例等調査検証委員会」は
27日、所在不明児の情報を国が一元管理することなどを求める報告書を発表した。

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 報告書では、「楽観的な推測だけで判断すると
大きな落とし穴にはまってしまう危険性があることを自覚し、
関係する機関が相互に連携して、全ての客観的な情報を集約・共有した上で
検討・対応すべきであった」と課題を指摘した。

 理玖ちゃんは平成16年10月、自宅近くの路上で、はだしでいたところを保護され、
児童相談所が迷子ケースとして扱っていた。
報告書によると、児相はこの直後、家庭訪問による調査実施の方針を決定。
しかし、実際は19年1月まで家庭訪問は実施されなかった。

 報告書では、児童虐待の相談件数が年々増加している現状を指摘。
現場の児童福祉司に過重な負担が掛かっていることから、
人口4万人に1人の福祉司の配置が望ましいと提言した。

 また、理玖ちゃんを優先度の高い虐待でなく、迷子ケースとして扱ったため、
組織内の情報共有や援助方針の検討が十分に行われていなかった点も指摘し、
相談種別に関係なく支援する全てのケースを管理する仕組み作りの構築も訴えた。

 さらに、国への提言として、自治体間で所在不明児に関する情報共有が可能となるよう、
国が情報を一元化する仕組みを創設することなども求めた。

 黒岩祐治知事に報告書を手渡した委員長の
鵜養美昭(うかい・よしあき)日本女子大学教授は
「今回の検証結果が単なる報告として終わるのではなく、
多くの関係機関、広く社会全体に子供たちが
危機的状況にあると認識してほしい」と強調。

 黒岩知事は「自治体や関係機関と意見交換をしながら、
スピード感を持って対応していきたい。
今回明らかになった問題を社会全体の問題として受け止め、
国としてもしっかり対応するように働きかけたい」と語った。
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