【代ゼミ問題】 曲がり角の教育産業 少子化で競争激化、生き残りかけ業界再編第2幕も

msn産経ニュース
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 不況に強いとされた教育産業が大きな曲がり角を迎えている。
大手予備校「代々木ゼミナール」を運営する高宮学園(東京都渋谷区)は
25日、全国27カ所にある校舎の20カ所を閉鎖することを柱にした
来年度の事業計画を正式に発表。
背景には、少子化による市場縮小の懸念に加え、
小中高校生を抱える大手学習塾との連携による「囲い込み競争」の激化がある。
今後、生き残りをかけた合従連衡が、さらに加速しそうだ。

 教育産業の再編や提携は、平成20年のリーマン・ショック以降に加速した。
代ゼミの高宮学園は、中学入試で定評のある「SAPIX」の
日本入試センターを平成22年に買収。河合塾も日能研と20年に事業提携した。
これに先立ち、「東進ハイスクール」を展開するナガセが「四谷大塚」を買収しており、
予備校大手と学習塾大手がそれぞれ組む構図が固まった。

 そもそも、これらの合従連衡は教育産業の中では異業種同士の組み合わせだが、
少子化に対応するため、小中高校生を確保したい学習塾と、
大学受験生を囲い込みたい予備校の思惑が一致した結果だった。
特に、不況の影響で大学受験生の現役志向が強まり、
浪人生の確保が難しくなった予備校にとっては、
「未来の大学受験生」を多く抱える学習塾との連携は、待ったなしの選択だった。

 こうした中、SAPIXと組んだ代ゼミだったが、
得意とする私立文系を志望する受験生が減少したこともあって、
囲い込み作戦が奏功しなかったようだ。

 今後はデジタル化で業界の激変が予想されている。
通信教育大手のベネッセホールディングスの原田泳幸会長兼社長は
「デジタル化で他業界からの参入も加速する。
行き着くところは価格破壊だ」とにらむ。

 一方、ある学習塾幹部は「大手の寡占化が進むと、
逆に特定の学校や学部に特化した受験サービスのニーズは増える。
規模を求めるか、ニッチ分野へのシフトか、対応が迫られる」と、
業界で二極化が進む可能性を指摘する。
今回の代ゼミの合理化方針は、業界再編第2幕のきっかけとなりそうだ。(平尾孝)
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