待機児童 減らせるか 0~2歳児「小規模保育」認可事業に

東京新聞
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 待機児童が特に多いゼロ~二歳児を保育する「小規模保育」が
来春から自治体の認可事業となり、受け皿として期待されている。
来年度から利用を考える親たちが保育所を見学し始める時期。
制度の概要や選ぶポイントを聞いた。 (安食美智子)

 「かくれんぼしている赤ちゃん、出ておいで」

 東京都文京区の内山史羊子(しょうこ)さん(46)と堀万美(まみ)さん(50)が開く
「小日向(こひなた)保育ママ家庭保育室」。
ゼロ~二歳児六人に内山さんが絵本を読み聞かせる。
公務員住宅の一階にあり、緑豊かな広い庭でドングリ拾いなどを楽しむ。
月一回連携する区立保育園に行く。

 内山さんら二人は保育士で「声がすぐ聞こえ、目と目が合う環境が必要。
保護者とゆったり話せる」と語る。
萱原実月(かやはらみづき)ちゃん(1つ)の母・由佳さん(35)は
「先生がトイレトレーニングのきっかけをつくってくれた」と話す。

 来年度からの小規模保育は定員六~十九人で、
同室のような複数の家庭的保育者(保育ママ)のグループ型(C型)、
認可保育所の分園型(A型)、A・C型の中間型(B型)があり、
職員の資格要件などが規定される=表。

 国や東京都では、すでに新制度導入を先取りした小規模保育の整備事業を開始。
国の「待機児童解消加速化プラン」で先取り整備する自治体は
延べ百二十一市区町村(五月末現在)に上る。

 都の事業では十三区市の五十四施設(四月末現在)を支援。
板橋区は空き施設など二十カ所で、ゼロ~二歳児対象の「板橋スマート保育」を
四月から行っている。
「きららの杜(もり)西台小規模保育園」は最寄り駅から
徒歩一分のビル一階で、十四人が通う。調理師を除く職員九人は全員保育士。
園庭はないが、午前中は徒歩数分の公園で遊び、
建物所有者の理解を得て屋上で水遊びも行った。
運営する小林弥生理事長は「子どもの発達に応じた質の高い保育ができる」と語る。

 課題もある。新制度では三歳以降の保育先として連携施設を設け、
保育が途切れない配慮をするが、板橋区は
「入園選考のポイントが加算されるなどの対応を取るが、
全施設でまだ(連携が)確立していない」と説明する。
◎目が行き届く △「質」への不安

 認可園と違い必ずしも有資格者ではないなど、保育の質も課題になる。
C型の多いNPO法人家庭的保育全国連絡協議会の鈴木道子理事長は
「保育者を支える補助員に対する助成など、
自治体間に格差があり、保育の質にも影響する」と話す。
従来は弁当持参型が多かったが、今後は全施設で自園調理が義務付けられ、
調理環境の整備を不安視する保育者も多い。

 また、認可保育所が加入する日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度では、
乳幼児突然死症候群(SIDS)にも対応できるが、
従来認可外施設だった小規模保育はこの制度に加入できない。
鈴木さんは「低年齢は機能が未熟。施設により命が差別されてしまう」と指摘している。
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