子育て支援 数珠つなぎ 東住吉区がスタート

大阪日日新聞
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子育てのしづらさを感じている保護者を1歳6カ月健診の段階で把握し、
小学校入学まで継続的に支援する仕組みを大阪市東住吉区がスタートさせた。
地域で親子が孤立するのを防ごうと企画。
子どもの発育の遅れや発達障害にも対応した連続講座を組み込み、
保護者の「子育て力」を引き出す。
単発の行事や講座にとどまらず、数珠つなぎで
フォローし続ける仕組みは大阪24区で初という。

 同区では、住民票を残したまま行方不明になっていた女児の問題が2013年に発覚。
「居所不明児」ゼロを目指す中、孤立しながら子育てをする親の存在が浮き彫りになった。
居所をつかむだけでなく、安心して子育てできる環境を築こうと仕組みをつくった。

 1歳6カ月健診の質問票で「子育てに困っていないか」
「子どもに発達障害の傾向がないか」を一定把握。
悩みなどが見られれば、子育て力を向上させるためのプログラムを
乳幼児健診と交互に参加できる大枠の流れをつくった。
参加の効果を検証する基準も作成。
成長度合いを確認したり、状況に応じて適切な機関にもつなぐ。

■褒めて育てる

 「子育てをする気持ちが楽になった」

 2、4歳児の親にはそれぞれ計4回の連続講座を民間に事業委託して実施。
10人規模で行う2歳用を8月に初めて開き、参加者全員の感想が一致した。

 受託したNPO法人ハートフレンド(同区)は、
子どもと同じ目の高さで声掛けする大切さや、
すでに身に付けている良い行動をあらためて褒めるといった「褒め方のこつ」を紹介した。

 保護者同士で褒め合う練習もし「うれしかった」との意見が続出。
子育ての方法を学ぶだけでなく心をも軽くした。

 計4回を経て保護者の雰囲気が一変して明るくなったといい、
同法人の徳谷章子代表理事は「どんな親でも内在する力がある。
集団の中で人は育つ」と力を込める。

■気付き促す
 仕組みづくりに尽力した同区保健福祉センター保健主幹の有馬和代さんは
「親同士のつながりを生む場があれば、安心して子育てしていけるようになる」と強調。
今後、プログラム参加者が子どもの年齢を超えて集まれるイベントを展開していく。

 一方、集団での取り組みは「保護者に子どもの特性に気付いてもらう」狙いもあるという。
中には発達障害がある子どももいるが、
簡単に受け入れられないケースは少なくないためだ。

 「他の子どもも目にして気付きを得ながら、
自分の子どもの個性に合った育て方を身に付けて」と有馬さん。
1歳9カ月児の親には遊びを通して子どもの状況を実感し、
関わり方を学べる教室を用意している。

 高齢者関連事業も担当していた有馬さんは
「高齢者虐待の現場では、その親子が子育て期に
良好な人間関係を築けていたかが課題になることも少なくない。
今回の仕組みが安心して暮らせる社会づくりにつながれば」と話している。
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