来春開始「子育て新制度」 公立幼稚園の料金に地域差

神戸新聞NEXT
------------------------------------------------------------------------------------------------
 来春始まる国の「子ども・子育て支援新制度」で、
市町が新たに定める公立幼稚園の料金設定のばらつきが目立っている。
兵庫県内では、保護者の所得に応じた料金(応能負担)の導入や、
公立・私立の料金を統一する動きがある一方、
定額制を維持する方針の自治体もある。
検討中という市町も多く、保護者への周知も進んでいない。(中島摩子)

 新制度で幼稚園は大きく変わる。
これまで幼稚園の料金は公立、私立とも定額制だったが、
新制度は保護者の所得に応じた料金(応能負担)が基本となる。
国は「公私間のバランス」も考慮するよう求めている。

 私立は新制度に移行した場合、応能負担になり、
金額は国が示した上限を基に市町が定める。
一方、公立は応能負担を基本にしつつ、
国は「設置者の市町が判断すべき」という立場だ。

 県内の公立約450園について各市町は、
応能負担に変えるか、市町の負担で定額制を維持するか、
私立との料金差をどうするかなど、財政や地域事情をみて検討している。

 公立の料金をめぐっては先に、大阪市の橋下徹市長が
「税投入の公平性の観点から、公立か私立かで差を設けるべきではない」
と公表、波紋を広げた。

 県内では、神戸、西宮、尼崎市の動きが先行している。
神戸市の場合、現在の私立の平均料金は月約2万4千円、
公立は月1万円といい、担当者は「基本的に公立を私立に合わせていきたいが、
上げるにしても段階的にしたい」。
来年度は定額制で、実質負担も変わらないようにする考えという。

 「応能負担を導入し、3年かけて公立の料金を私立の9割に」とは西宮市。
尼崎市は「2016年度から公私統一したい」とし、
両市とも経過措置を設ける方針という。

 ただ、県こども政策課によると「検討中」の市町が大半。
姫路市は「公表できる段階ではない。公立は市内に46園あり、料金は月6300円。
一気に上げる判断は難しい」。

 私立が少なく、公立が大半の農村部では
「定額制を維持する方針」(朝来市)「現行水準をベースに考えざるをえない」(豊岡市)
といった声が目立つ。

 保護者への影響が大きいにも関わらず、
大半の市町で「検討中」を理由に料金の周知は進んでいない。
私立の願書配布が始まり、公立の申し込みも10月ごろに予定される中、
県こども政策課は「決定でなくても、案の段階から公表すべき」と指摘している。

 【子ども・子育て支援新制度】
「社会保障・税一体改革」の目玉で、消費税の増収分から、
毎年7千億程度を子育て支援にあてる。
預け先は、保育所▽幼稚園▽保育所と幼稚園の機能を併せ持つ認定こども園
▽小規模の地域型保育‐の4種類。
私立幼稚園のみ新制度に移行しない選択ができる。
実施主体の市町は「子ども・子育て会議」を立ち上げて5年分の事業計画を作り、
認定こども園の普及や待機児童の解消、子育て支援の充実などを目指す。
料金体系のほか、各施設の利用手続きも変わり、
保護者は就労状況などをもとに「保育の必要性」(1~3号)の認定を受ける。
------------------------------------------------------------------------------------------------