イクメンに「パタハラ」の壁 男性の育児参加、職場の上司が妨げに

Doshin web
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子育てのために早退しようと思ったけれど上司の顔色が気になって帰れなかった―。
育児参加に熱心な男性を指すイクメンという言葉は知られても、
会社の雰囲気や「育児は母親」という社会の意識はなかなか変わらない。
男性社員の育児参加を阻む言動はセクハラと同じハラスメントの一つだ。
「パタハラ」と呼ばれる壁になってイクメンに立ちはだかっている。

 パタハラは造語の「パタニティー・ハラスメント」の略で、
パタニティーは英語で「父性」の意味。
男性が育児で父親らしさを発揮しようとする機会を、上司らが妨げる言動を指す。

 札幌市内のイクメンを自任する40代男性会社員は、
上司の一言がずっと気になっている。
長女が風邪で熱を出し、共働きの妻に代わって
保育所に迎えに行くため会社を早退した時のこと。
上司に申し出ると「そんなことでいいのか―」。
普段は穏やかな性格の上司の本音に戸惑った。
「女性(母親)だったら理解されるのでは…」とも思った。

 そんな経験をした人は少なくないようだ。
日本労働組合総連合会(連合)は今年1月、
初の「パタハラに関する調査」をまとめ、実態を明らかにした。

 調査によると、子どものいる男性525人に
「職場でパタハラをされた経験があるか」を聞いたところ、11・6%が「ある」と答えた。
内容は「子育てのための制度利用を認めてもらえなかった」
「上司に『育児は母親の役割、育休を取ればキャリアに傷がつく』と言われた」など。
また、職場など周囲でパタハラに遭った人がいるかと
男性千人に聞くと10・8%が「いる」と答えた。

 厚生労働省の2013年度の雇用均等基本調査によると、
男性の育休取得率は前年度に比べ0・14ポイント増の2・03%。
過去2番目の高水準だったが、20年に13%に引き上げるとした
政府の成長戦略の目標にはほど遠い。
今年4月、育児休業給付の支給割合が休業前の賃金の
50%から67%に引き上げられた(最初の6カ月間限定)が、
経済的な支援だけで育休の取得率が上がるかどうかは未知数だ。(藤本陽介)
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