保育士の待遇改善急務 児童預かり環境に格差


大阪日日新聞
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 安倍晋三首相は29日の所信表明演説で「女性が輝く社会」を目指す方針をあらためて示し、
共働きのために不可欠な保育所入所の待機児童ゼロに向けた成果をアピールした。
待機児童の減少傾向は大都市の大阪でも見られるが、
一方で、施設の安全面や事業の質をめぐって懸念が生じているのも事実。
小学校入学を機に預け先がなくなる「小1の壁」の打破を強調した首相の決意に対しても、
実のある取り組みを求める声が上がった。

 大阪府の保育所入所待機児童数(4月1日時点)は2年連続で減少し、
前年比266人減の1124人だった。
府によると、保育所整備のほか、
アパートの一室などで子どもを預かる保育ママ制度や
認可外保育所の活用が進んだことが背景にある。

安全面に不安

 しかし、保育ママ制度をめぐっては保育士資格がない人も担い手となれるため、
大阪保育運動連絡会(大阪市)の芳村慶子事務局長(51)は
「受け皿が拡大しても安心して預けられるかが問題」と指摘。
乳児には「突然死症候群」の懸念があるためだ。

 安倍首相は、保育の担い手を増やす策として子育て経験のある専業主婦らが
一定期間の研修を受ければ「子育て支援員」になれる制度を打ち出しているが、
安全面を問題視する芳村事務局長は「保育士の待遇を改善し、
なりたいと思える職業にするのが大事」と訴えている。

「小1の壁」

 小学校入学後は、放課後に子どもを預かる事業があるものの、
保育所ほど長くないため、保護者が働き方を考え直さなければならない
「小1の壁」が横たわっている。

 放課後の小学生を預かる事業「天空のもり」を
大阪市大正区の南恩加島公園集会所で実施中の多喜博子さん(41)は、
その小1の壁を保育サポートの「格差」と捉えている。

 実際、大阪市の各小学校には利用無料の「児童いきいき放課後事業」や
父母会による学童保育所があるが、
指導員はいても「遊ばせているだけ」との声は多い。
このため、多喜さんは天空のもりを通してそろばん、習字、英会話、文章塾といった
プログラムを実践し、結果的に働く母親の支援につなげている。

 天空のもりでは日常的に使用されていない地域の
“眠った”集会所を使用しており、多喜さんは
「こういった場所を開放したり、条例などの仕組みを変えてほしい」
と支援環境の整備を訴えている。
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