【神奈川】県内私立幼稚園 新制度移行17%のみ 15年度 見通し立たず二の足

カナロコ
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 来年4月に始まる「子ども・子育て支援新制度」をめぐり、
県内の私立幼稚園のうち初年度に新制度に移行(検討中含む)する園は
17.7%にとどまっていることが、県と市町村の調査で分かった。
全国(22.1%)より4ポイント以上低く、多くが様子見の姿勢を示している。
園への公費投入額の減額が想定されるケースがある点や、
複雑な制度の詳細が不明といった点が二の足を踏む要因のようだ。

 調査は今年7月(横浜市のみ8月)、国が全国の自治体を通じて実施。
県内では私立幼稚園629園を対象に行い、605園(回答率96・2%)から回答を得た。
その結果、来年度に新制度に「移行する」としたのは72園(11・9%)で、
「検討中」は35園(5・8%)。
この107園のうち「認定こども園となって移行」が34園(5・6%)、
「幼稚園のまま移行」が69園(11・4%)、
「いずれか検討中・無回答」が4園(0・7%)だった。

 一方、「来年度に移行しない」(検討中含む)との回答は82・3%(498園)に上った。
このうち2016年度以降に「移行する方向で検討」としたのは92園(15・2%)、
同年度以降に「状況により判断」は285園(47・1%)だった。

 新制度は子育て支援の拡充が目的。
幼稚園は来年度以降、(1)幼稚園のまま新制度に移行
(2)保育所の機能を合わせた「認定こども園」となって移行
(3)新制度外で幼稚園として存続し私学助成を受ける
-のいずれかを選べる仕組みだ。

 移行する場合は現行の私学助成に代わり、
保育所同様に園児の人数に応じた給付金を国から
市町村を通じて受け取る仕組みになる。
現在の利用料は各園で自由に設定できるが、
移行すれば国が示す上限内で市町村が利用者の所得に応じた
負担額を定める方式に変更される。
移行により低所得利用者の負担額が軽減されるケースもあるとみられている。

 ただ、幼稚園側にとっては、新制度の枠組みが必ずしも支持されていないのが実情だ。
国が5月末に示した公費投入の基準となる公定価格は全国平均のため、
地方に比べ都市部では「低めの設定となる」とされるほか、
制度の詳細が不明な点も多いとされる。
特に定員が多くなるほど1人当たりの単価が低くなり、
大規模園では「逆に減収となる」との声もある。

 来春の園児募集は10月から始まるため、
準備期間が短く、園側が移行をためらう様子が
調査結果でも浮き彫りになった形だ。
県次世代育成課は「子育て支援の充実という目的を踏まえれば、
家庭状況に合わせてサービスが選べる施設の選択肢が多い方が好ましい。
国はもっと幼稚園が移行しやすいような制度設計にしていく必要がある。
県としては個々の園の相談にきめ細かく応じて支援していきたい」としている。

◆子ども・子育て支援新制度 
 幼児期の教育・保育を「個人への給付」として保障。
認定こども園や幼稚園、保育所、小規模保育などの施設等を利用した場合に
共通の仕組みで給付が受けられる。
利用者に直接的ではなく、市町村から施設等に支払われる。
財源は消費税率が10%に引き上げられた場合の増収分のうち、
約7千億円が充てられる。
ただ、新制度の財源として約7千億円全てが充当されるのは17年度以降とされる。
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